2025年版Numbeo生活費指数によると、カンボジアの首都プノンペンはASEAN地域で4番目に生活費が高い都市となった。1位はシンガポール(指数79.1)、2位プーケット(38.1)、3位バンコク(37.1)に続き、プノンペンは36.9とされた。中心部でのワンルームの家賃は月400ドル、1食あたりの外食費は3ドルとされており、生活費の上昇が顕著である。
しかし、この調査を発表したNumbeoは、クラウドソース型のデータベースであり、都市比較の参考にはなるものの、統計的な精度や代表性には限界がある。経済政策に直接反映するには慎重な扱いが必要とされる。
プノンペンの物価高騰の背景には、外国投資や観光の増加に加え、輸入依存による商品価格の上昇がある。王立カンボジア研究院のスン・サム氏は「多くの消費財を外国から輸入しているため、付加価値税などの課税により価格が上がる」と述べ、「タイやマレーシアと物価は大差ないが、カンボジアの所得水準ははるかに低い」と指摘する。
都市と地方の格差も深刻であり、サム氏は「地方労働者の1日分の収入では、プノンペンのスターバックス2杯分も賄えない」と述べた。また、シンクタンクCICPも「都市部の貧困層の増加と、それに対するセーフティネットの欠如が都市開発の大きな課題」と警鐘を鳴らしている。
さらに、経済アナリストのトム・ゴー氏は「生活費の上昇は経済発展に伴う自然な現象だが、所得の伸びが追いついていない」とし、「特定の層だけが恩恵を受けるような観光・不動産ブームによる物価上昇は、都市貧困をさらに深刻化させる」と分析した。
政府および関係機関には、生活費上昇を見据えた包括的な対応策と、低所得層への支援強化が求められる状況である。