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24日、世界的衣料ブランドである『GAP』の下請けだったカンボジアの複数の工場で長期間にわたって縫製工の権利を侵害し、虐待していたというショッキングなレポートが提出されたことをクメールタイムズ紙が報じている。
レポートはアジア最低賃金同盟(Asian Floor Wages Alliance=AFWA)の作成で、過去10年以上にわたって縫製工へのインタビューした上で複数の工場で短期の出来高払い契約とセクハラがあったことが証言されている。 短期契約で雇用した労働者を違法に長期間業務に当たらせていたことが労働法に抵触していると指摘し、法的には2年以上の長期雇用契約が必要とされるはずだが、法律を守っている工場の割合は2011年の76%から67%に減退している。
ベターファクトリーズカンボジア(Better Factories Cambodia=BFC)のチーフテクニカルアドバイザーによると長期契約でないと縫製工は産休、皆勤手当、年次休暇を得ることがでず、事前通知なしで雇用を打ち切られ、雇用主との交渉権もないと指摘している。 労働者権利団体「セントラル」のエグゼクティブ・ダイレクターは「労働者は雇用不安から問題が起きても抗議することもできず、基本的人権が保障されていない」と語った。
これに対し、雇用者側の機関であるカンボジア衣料製造者協会(Garment Manufacturer’s Association of Cambodia=GMAC)の事務局長は、縫製工の多くが出産手当等の給付が受けられる長期契約よりも5%の退職金を得ることができるため、短期契約を好んでいるとして、この訴状に反発した。
AFWAの報告書では、GAPへ供給しているいくつかの工場は、より長時間働かせられるように出来高払制を用いており、そのために縫製工たちはトイレに行くこともできなかったと記載されている。これに上述のGMACの事務局長は「ほとんどの工場が出来高払い分というボーナスを与えており、最低賃金よりも高い賃金を支払っていた。カンボジアで出来高払いに問題ない」と反発していたという。
報告書には、2014年のヒューマン・ライツ・ウォッチ によるセクハラの件も言及されており、5人に1人がセクハラを受けていたと記載されている。労働者の権利団体のソリダリティーセンター(Solidarity Center)のカントリーダイレクターは、有期雇用契約を採用している工場の多くが、契約期間終了後のセクハラ問題を回避できるような契約項目を使っていた。しかし、前出のGMACの事務局長はヒューマン・ライツ・ウォッチのセクハラ件数の算出方法に疑問を呈している。 「国際労働機関(International Labor Organization=ILO)にセクハラに関して重大なコンプライアンス違反はないとお墨付きをもらっている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは極少人数へのインタビューで作り話をでっち上げたのではないか」と納得のいかない様子であったという。