20歳という若さでカンボジアを訪れ、カンボジアの地に惹かれていった。
カンボジアで初のイベント会社、パワー・トラックス・プロダクションズを立ち上げ、その後イベント会社のキーラットイベント、音響・ライトを取り扱うスリー・シックスを展開し、カンボジアのイベント業界のトップを走り続ける。
そんなキーラットイベントのCEO、オスマン・オマール氏に、カンボジアビジネスの困難さやカンボジアに居続ける理由について話を聞いた。
母国のシンガポールで感じたこととは。
私が初めてカンボジア行きを決意した時、両親は安全な国ではないからという理由でカンボジア行きに反対していました。20歳という当時の年齢、当時のカンボジア情勢を踏まえると、両親が心配したのも無理はないと思います。それでもカンボジアにやってきた私を説得するため、カンボジアからシンガポールへの飛行機代は決して安くなかった時代に、父親はカンボジアを度々訪れてくれました。お金のことなど気にせずただただシンガポールに戻ってきてほしいと懇願する父親を見て、2週間だけシンガポールに戻ることにしました。しかし、シンガポールに戻った2週間が、カンボジア生活を決意させることとなりました。
私はシンガポールに戻ったものの、カンボジア、そしてカンボジアにいる友達が非常に恋しく感じられました。母国であるはずのシンガポールが、ある国の旅行先のように感じました。シンガポールは非常に忙しい国で周りの人々との繋がりを感じられず、人生の多くを過ごしたシンガポールがカンボジアよりも全く居心地が良く感じられなかったことを覚えています。その為、カンボジアで達成したいことがあると両親を説得し、カンボジアでのビジネス、生活を続けることに決めました。その決意があったことからこそ、カンボジアでのビジネスを続けられています。
考えれば、シンガポールで暮らした20年よりも長い24年間という月日をカンボジアで過ごしています。カンボジアは自分にとっての祖国です。
カンボジア初のイベント会社として歩んだ道のりとは。
会社を始めた当初、フィリップモリスで働いていた男性から様々な州でロード・ショーの開催を依頼され、毎週ロード・ショーを開催しました。またコニカミノルタからも多くの依頼が受け、コニカのスポンサーのもと、ミス・カンボジアといった多くのプロジェクトを行いました。フォルテのCEOであるチャールズ・チェオ氏からも、広告と雑誌マーケットに参入したいという声がかかりました。我々はグループとしてイベントを開催していきました。こうしてカンボジアで初のイベント会社として自社を成長させること10年、2014年に現在のキーラットイベント(Kilat Event)を開業しました。2016年からは、スリー・シックス(Three 6)という音響・ライトの技術生産・レンタル会社も始めています。
ここまで成長することができたのも、カンボジア人・外国人スタッフのチームワークと会社への献身、そして様々なクライアントからの継続的なサポートがあったからだと思っています。多くのクライアントが我々の能力とその専門性に信頼を置いてくれました。また一緒に働いてくれる才能溢れる献身的なスタッフを持ったことに非常に感謝しています。
これまで携わったイベントの中で最も心の残るものは、2013年に日本カンボジア60周年記念事業として行われたアンコールワットでのイベントです。 アンコールワットにライトアップを施し、カンボジア日本両国のアーティストのコラボレーションのマネージメントを行いました。歴史ある寺院でのイベントは困難も多かったですが、歴史的に意義のある場所でイベントを開催でき、非常に誇りを感じています。
第一に、成功の鍵はカンボジアの市場と文化を理解することだと思います。我々はそれを理解した上で、カンボジア市場にプロジェクトマッピングなどの新しい技術や機器を導入し、クライアントに対するソリューション提供に関して常に革新的であるように努めています。その結果、カンボジアのイベント業界の競争力、技術水準、知識の向上がもたらされることを願っています。また我々は、クライアントが直面している課題を克服するために、ニーズを最も満たす最善のソリューション提供を常に考えています。そのためにはクライアントのニーズと課題を理解する必要があり、クライアントと関わる中で調査を行っています。
また全ての顧客がテクノロジーについて、その働きについて理解していない事が多いです。その為、ビデオやプレゼンテーション形式を用いて、イベントの結果を視覚化し、成果を現実的に期待できるようにイベントやテクノロジーについて知らせています。イベント開催の費用に関して高いと感じるクライアントも多いですが、イベントの性質について理解していないからこそ発生するのだと思います。またイベントの開催には多くの時間や準備を要します。ここが中々理解してもらえず、無理な注文をされることもあります。充分な計画無しでは問題も多く発生し、追加予算が発生する可能性もあります。時間的制約のために解決できない問題もあります。
そのため、クライアントが抱えるニーズ、課題を理解し、イクライアントにイベントで何を得られるのか理解させることが重要なポイントです。顧客の理解と顧客目線に立ったサービスが、弊社の大きな成功へとつながっているのだと思います。
現在、私はスタッフに対し、これらの問題に関する教育を行うことに重きを置いています。成功は決して容易ではありません。トレーニングに多くの労力を必要とします。クライアントに対する問題解決能力を上げるためにも、彼らのスキルや知識ベースの向上を図っていきたいと思っています。
私はこれまで日本企業と提携し数々のプロジェクトをしてきましたが、日本企業のカンボジア進出には問題が発生しないと確信しています。カンボジア市場は成長を続けていますし、特に今がカンボジア進出をする時期だと思います。特にテクノロジー分野において日本企業の進出を心待ちにしています。カンボジアは依然としてテクノロジーに関する知識が浸透していません。テクノロジーに関する学校設立などを通して、教育環境を整えることが必要です。
ぜひカンボジア進出を楽しみにしています。