(c)Phnom Penh Post
日本貿易振興機関(JETRO)は、カンボジア経済の魅力は労働賃金の低さと、タイとベトナムを結ぶ南部経済回廊が横切る地理的優位性だと言う。プノンペンポスト紙が報じた。
JETROプノンペン所長の河野将史氏は、「カンボジアは日本人投資家から注目され始めている。タイとベトナムの間にあり、製造・輸出するには良い位置にある。カンボジアへ進出し、こちらで製造・販売する会社も増えるだろう」と語った。
日本外務省によれば、二国間貿易は過去10年以上の間に8倍になった。カンボジアは2015年に日本から車両や機械類など3億6600万ドル相当を輸入しており、対して対日輸出は衣料品や電子部品など12億ドル相当となっている。
貿易額増加は、カンボジアで事業を開始する日系企業の増加と比例している。
「過去5年間でカンボジアの日系企業数は2010年比3.4倍の170社以上になった。数字には表れていないが、この他にも小さなショップなどが無数に進出しており、日本人コミュニティーは規模を拡大している」と河野氏は話す。
日系企業の資本投資の大部分は経済特区へ流れており、1994年から2014年までに3億ドルを超えるなど経済特区に最も投資している国となっている。
在カンボジア日本大使館の鴨志田尚昭参事官は日本人投資家の行動戦略について、「コスト削減・リスク低減のために地域全体に投資を拡大させている。2011年にタイで起こった大規模洪水で工場が操業停止したことを受け、予備的な工場をカンボジアに建設しようという動きがある。低賃金だけでなく、製造ライン増設によるサプライチェーンの多様化というメリットがある」と語った。
9月初めの成田-プノンペン間の直行便就航は、こういったビジネス活動や二国間貿易の活性化を反映してのことである。
JETROプノンペンの海外投資アドバイザーである伊藤隆友氏によれば、プノンペン経済特区(PPSEZ)内の工場は日本まで約8日間かけて製品を海上輸送しているが、イレギュラーに対応できない輸送システムであり、緊急の依頼などには空輸で対応ができているという。
PPSEZのCEOである上松裕士氏は直行便就航に関し、「渡航時間が6時間以内になり、日本とカンボジアの距離が近くなった。日系企業にはこの飛行経路を有効活用してほしい」と期待を述べた。