国際通貨基金(IMF)は最新のレポートにおいて、カンボジアの2025年の経常収支(対GDP比)を2.26%の黒字と予測した。これは、同国が外資導入や貿易相手国の多様化、インフラ整備を進めた成果と位置づけられる。
2021~2022年の大幅な赤字(2021年:-29.6%、2022年:-19%)から大きく回復したことは、観光回復や製造業の堅調な輸出によるものとされる。2023年には1.28%の黒字に転じ、2026年には再び1.06%へとやや低下する見通しである。
ただし、この予測は2025年4月2日公表のIMF『World Economic Outlook(WEO)』に基づくものであり、4月17日に発表されたトランプ米大統領による「相互関税」政策の影響は反映されていない。同政策は、カンボジアを含む多くの国に最大49%の関税を課す可能性があるため、今後の経常収支には下方リスクがある。
経済専門家のトム・ゴー氏(シンガポール)は、「観光と製造業が好調であり、関税問題を除けば健全な回復基調にある」と述べつつ、「輸出先の多様化と内需拡大が持続可能な成長の鍵」と分析した。
カンボジア王立アカデミーの経済学者ダーリン・ドゥク氏も、「経済多角化、特区政策、物流改善により、国際的な貿易環境を整えてきた」と評価している。
ASEAN域内では、カンボジアはブータン(15.4%)やベトナム(3.2%)に次ぐ水準。シンガポール(17.2%)や日本(3.4%)などの主要経済圏と比べても、堅調な改善が見られる。一方でフィリピン(-3.4%)、インドネシア(-1.5%)などは赤字圏にとどまる。