2025年第一四半期におけるカンボジアの鉄鋼輸入額は、前年同期比で75%増となる2億1,700万ドルに達した。これは、同期間の総輸入額75億7,300万ドルのうち約2.9%を占める規模であると、カンボジア関税・税関総局の報告書が明らかにした。単月ベースでは、3月の鉄鋼輸入は7,200万ドルで、前年同月の3,700万ドルから約90%増加している。
主要な輸入相手国は中国、ベトナム、タイであり、カンボジアの鉄鋼需要はこれら近隣国からの供給に大きく依存している。
この急増の背景には、建設部門の徐々な回復がある。アジア開発銀行(ADB)が4月9日に発表した「アジア経済見通し」によれば、カンボジア経済は2025年に6.1%、2026年には6.2%の成長が見込まれており、主に製造品の対外需要の増加と観光業の回復がけん引役となるとされている。
建設・不動産部門については、工業団地や住宅開発などに支えられながら、徐々に回復が進むと予測されているが、外国直接投資(FDI)の減少などを背景に、不動産市場の回復はやや緩やかな展開となる見通しである。
2019年から2024年にかけて、不動産業界は新型コロナウイルスの影響や世界経済の不安定さによって打撃を受けたものの、政府と民間の積極的な支援により、着実に回復の歩みを進めてきた。
カンボジア建設協会(CCA)のプン・キエウサエ会長は「政府が不動産業界に対し税制上の優遇措置を提供したことに感謝する」と述べた。これらの優遇措置は、2024年末に開催された第19回官民フォーラムで発表されたものであり、不動産開発業者や所有者の税負担軽減を目的としていた。
さらに、ブン会長は「政府は1敷地あたり5ヘクタール未満の未利用地に対する土地税の免除も決定し、国民や開発業者への経済的圧力を緩和する姿勢を示した。こうした施策は、住宅所有の促進と、建設・不動産分野の持続的成長を後押しするものである」と語った。