カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

  • 経済
  • 2025年3月19日
  • カンボジアニュース

ACARの会計規制、企業に過度な負担か──ACARが会計文化の重要性を強調[経済]

カンボジアにおけるノンバンク金融サービスの監督機関(Non-Bank Financial Services Authority=NBFSA)に属する会計監査規制局(ACAR)は、シアヌークビル特別経済区(SEZs)内の企業や非営利団体に対し、強固で透明性の高い、信頼できる会計文化を確立するよう呼びかけた。これは行政罰の回避を目的としたものである。

2025年3月18日、シアヌークビル州で「会計・監査義務および関連規制」をテーマにしたセミナーが開催され、ACARのボウ・タリン局長が主宰した。

同氏は、「ACARとしてはSEZ内の企業や非営利団体に対し行政罰を課したくはない」と述べた上で、「我々は彼らが堅牢で透明性があり、信頼できる会計システムの構築に積極的に貢献することを奨励する」と発言した。

しかし、こうしたメッセージをあえて当局が発信する背景には、制度設計そのものが会計サービス市場の活性化や罰金収入の確保を目的としているのではないかと勘ぐられても仕方ない構造がある。

実際、ACARの規定と罰則は、上場企業や大規模法人が通常行う監査水準の報告義務を、中規模納税者にまで広く求めており財務諸表の監査未実施や会計帳簿の不備だけで数百〜数千ドル規模の罰金が科される。一度の違反であっても罰則は厳しく、繰り返せば経営を圧迫しかねない。

さらに、違反に対して改善の余地を与えず、即ペナルティという印象が強く、義務内容と企業規模のミスマッチは明白である。他国と比較しても、カンボジアの中規模納税者に対する会計・監査要件および罰則規定は厳格であり、企業にとって大きな負担となるリスクが存在している。特に、監査にかかる会計事務所への依頼費用や人的リソースの確保が難しい層にまで求められている点は見過ごせない。

例えば、ベトナムでは全ての企業に一律の監査義務が課されているのに対し、カンボジアでは企業規模に応じた要件が設けられているものの、中規模企業に対する要求水準が高く、罰則も厳しい傾向にある。

法人設立がオンライン化の推進により以前より簡便になっているにもかかわらず、新規法人件数が減少している要因の一つとして、こうしたリスクも挙げられよう。

関連記事
政治
日本、カンボジア・タイ国境地域に180万ドルの人道支援 現地ではタイ軍侵攻報道も[政治]
(15日)
経済
中国産無印スープ粉末をタイ製と偽装、30トン押収[経済]
(14日)
経済
2025年上半期の企業登録が微増 前年の落ち込みには及ばず[経済]
(05日)
経済
保険契約数が前年比2倍超:カンボジア保険市場が急拡大[経済]
(07月29日)
法律
中小企業向けCIFRS研修開始 財務報告基準の遵守強化へ[法律]
(05月22日)
観光
「カンボジア・中国観光年」に習主席が支持表明──観光連携に弾み[観光]
(04月22日)
あわせて読みたい
特集
カンボジア新しいスタンダード -カンボジア税制に対応したクラウド会計ソフトがいよいよ登場!-CAMBODIA NEW STANDARD
特集
トップインタビュー VDB Loi ヴィーディービー・ロイ ジーン・ロイ (1/2)
業界
常に専門性の高い知識が必要[法務・税務・会計] 宮田 智広
業界
税法や労働法など法律は毎年頻繁に変わる[法務・税務・会計] 安藤 朋美
経済の最新ニュースランキング
最新ニュース