(c)Phnom Penh Post
シンガポール系デベロッパーによる進行中の複合施設「ザ・ベイ」の住居棟の建設計画が保留となった。プノンペンポスト紙が報じた。
ザ・ベイのデベロッパーの親会社であり、シンガポール証券取引所上場企業のTEHOインターナショナルは先週金曜日、ザ・ベイ住居棟の建設延期を書類で提出した。理由については、2018年までプノンペンでのコンドミニアム供給が著しく増加することにより、過剰供給リスクが高まっているからとしている。
同社によれば、現地企業と共に市場の変化を調査し、開発計画の方向性を変更するという。
2015年2月に発表された計画では総事業費は5億ドル、計6棟が建設予定で、住居棟には2000戸以上、ホテル棟には250室を含んでおり、2019年に完成予定となっていた。
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独占販売権を所有していた現地不動産販売会社のFuri不動産のCEOによれば、コンドミニアムを購入していた投資家らには、既にデポジットが返金されているという。同CEOは、計画は単に延期されただけと主張しているが、非住居棟の建設計画が継続されるかどうかは確認されなかった。この中にはホテルオークラが運営する45階建てのホテル棟の計画も含まれる。
ザ・ベイ開発計画は早い段階から困難に直面していた。現地パートナーである不動産業界の大物ソック・バン氏が女性アナウンサーとの不祥事によって逮捕され、同氏の所有株は、ジュム・チャイリー副首相の娘であるジュム・チェイリン氏に譲渡された
。そのほか、コンドミニアム販売の減速や価格低下も重なった。
不動産総合コンサル会社ナイトフランクが最近発表した報告書によれば、プノンペンには既に2979戸のコンドミニアムが存在し、今年末までに新たに3184戸が市場に加わる予定だ。
また、把握済みの建設計画が全て予定通りに完成すれば、コンドミニアムセクターは2020年までに723.5%も成長すると予想されている。
過剰供給の懸念が高まる中、同報告書によれば今年上半期の販売実績は昨年同期比27%減少の929戸で、今年第二四半期の既存コンドミニアムの価格は、第1四半期から36%下落の1823ドル(平方メートル)となった。
CL不動産CEOのシア・チャイリン氏は、「我が国のコンドミニアム需要は未だ小さく、現在は2~3年前より縮小した。最初に投資したデベロッパーがほぼ全ての潜在市場を獲ってしまったため、後からの参入者は困難に直面するだろう」と語った。
センチュリー21カンボジアCEOのチレク・ソクニム氏は、コンドミニアム販売の減速は市場が過剰供給に反応した結果とする一方で、多くの建設計画が承認を受けつつも大多数が数年のうちは開発準備が終わらず、2020年以前は過剰供給が問題にならないだろうとしている。
また同氏は、市場は「成熟段階」に到達しており、デベロッパーらは計画完了のため十分な資本を用意する必要があると語った。