【飲食・観光】
カンボジアには昨年、620万人の観光客が訪れ、カンボジアの観光旅行者は増加の一途を辿っている。2018年に対前年比10.7%増の620万人を超える外国人観光客が訪れ、経済効果は43.5億ドルと前年の36.3億ドルから19.8%増加した。
今年に入っても勢いは衰えず、今年第1四半期中には外国人観光客が129万人が訪れ、対前期比9.7%増加。国別では、中国人が68万3436人と前期より35.1%増加し、次いでベトナム人が18万6863人で2位、続いてラオス人が12万1489人、タイ人が9万7942人、韓国人が9万5719人だった。
観光客の旅行先の一番人気はアンコールワット遺跡群だ。アンコール遺跡群の観光チケットの販売収入は、2018年に8%増加した。切符の販売を担当する会社、アンコール・エンタープライズによると、250万人の外国人旅行者が訪れ、売上額は前年比5.4%の増加だという。マカオのカジノ運営会社、マカオレジェンド社が、リゾート開発のためシェムリアップに1200ヘクタールの土地を購入しているおり、シェムリアップの人気は今後も益々上がるだ
ろう。
観光客の残り半数の向かう先はカジノやシアヌークビルだ。プノンペンで唯一のカジノホテル、ナガワールドカジノでは、2017年の中国人訪問客数は前年比40%増、VIP顧客によるカジノの賭け金は142%増の211億ドルとなり、カンボジアの2016年のGDP(200億2000万ドル)の値を上回った。
プレアシアヌーク州は、2018年の上半期、130万人以上の観光客が訪れ、内訳は約100万人が国内観光客、29万782人が外国人観光客、そのうちの8万4664人が中国人観光客だった。
これは、観光ビザの緩和、中国語話者のガイドやスタッフの増加、中国語での道路標識表示など、中国人観光客の増加に対応する国家戦略が功を奏したと言えよう。
中国文化観光部は今年5月、中国企業と提携して、カンボジアを中国で宣伝することができる旅行代理店として、13社のカンボジア企業を承認した。これは、中国人観光客へのサービスの提供レベルが必要な品質基準を満たしているとして、中国企業と提携するための資格だという。
しかし、利益を生む中国人観光客の恩恵を受ける一方、2018年1月から9月にかけ、近隣諸国からの観光客(ベトナム98万4000人、ラオス98万4000人、タイ23万9000人)は減少した。
忘れてはいけないのがカンボジア人による国内旅行の増加だ。カンボジア人の海外旅行は10%増え、140万人に達し、多くのカンボジア人が気軽に国内、海外旅行を楽しめるようになってきている。
カンボジア観光省プロモーションマーケティング部の西村清志郎氏は、「カンボジア人による国内旅行者数は毎年上昇しており、連休などのタイミングでは宿泊施設不足などの問題も起こっています。またローカル向けの新しいリゾート開発や観光地開発も増加しており、中には環境問題を引き起こしているケースやオーバーツーリズムとなっているケースも見受けられます。今では彼らの所得が上がることによって、カンボジア全体の観光業の流れが変わり、そのため、現在閉鎖されているカンボジア各地の空港も再稼働し、近い将来、気軽に地方都市に行き来できるようなインフラができてくると思います」と語る。
今年コンポンチュナン州で開催された第5回リバーフェスティバルには、少なくとも50万人の観光客が訪れた。観光省は同州のゲストハウスやホテルに対し、宿泊価格を釣り上げない協定へ署名させている。
また、観光省は今年4月、モンドルキリ州に新空港建設のための実現可能性調査を今年後半に実施すると発表した。北東部の観光分野を促進することが期待されている。