【金融・保険】
これまで銀行口座保有率の低さがデメリットだったカンボジア。しかしそれを逆手に取り急成長を遂げているのがフィンテックの分野だ。
決済サービスアプリ『パイペイ(PiPay)』は、これまでRHBインドシナ銀行、ABA銀行、サタパナ銀行、マイクロファイナンス機関のAMKなどと提携しシームレスな資金移動を実現させているほか、中国最大のオンライン決済サービスアリペイと提携するなど、業界で突出した成長を見せる。2020年までに年間200万人以上の中国人観光客を見込まれており、アリペイとの提携がその成長をさらに加速させるだろう。また、カンボジア最大のモバイル金融サービス企業のウィングも大手オンライン送金会社のワールドレミットも一部提携を開始した。
世界経済フォーラム(WEF)のレポートによると、NBCは、金融包摂と銀行業務の効率化を支援する策として、2019年後半にブロックチェーン技術を実装するとしている。そのとおりとなれば、国内の決済システムでブロックチェーン技術を使用した最初の中央銀行の1つになるだろう。新しいブロックチェーンベースの支払いシステムは、消費者が商業銀行を通じてこれにアクセスすることができ、モバイル決済アプリと商業銀行口座の双方で機能することで市民と企業間における小売り決済が促進されれば、貯蓄と財政の安定を支えるものとして銀行口座の開設も促進される。
カンボジア初であり唯一の証券取引所、カンボジア証券取引所(CSX)は2011年に発足し、現在はプノンペン水道公社(PWSA)やプノンペン自治港(PPAP)、プノンペン経済特別区PPSP)、シアヌークビル自治港(SAP)などの上場企業がある。CSXのホン・ソク・ホーCEOは、「上場企業は、投資のための長期資本を調達するほか、法人税の50%減免措置も受けられる。年内中には3~4社の社債上場するだろう」と語る。
昨年12月24日に総額4億4300万ドル、215万535株が取引され、史上最高の取引高を記録した。さらに株式時価総額は今年第1四半期末に5億3430万ドルに達し、これは前期4億4292万ドルから、約21%増加したことになる。
カンボジア初であり唯一の証券取引所、カンボジア証券取引所(CSX)は2011年に発足し、現在はプノンペン水道公社(PWSA)、グランド・ツイン・インターナショナル(GTI)、プノンペン自治港(PPAP)、プノンペン経済特別区(PPSP)、シアヌークビル自治港(SAP)の5つの上場企業がある。取引は闊達とは言えず、上場企業数の増加が喫緊の課題だ。
カンボジア保険協会(IAC)によると、事業者数の増加と消費者需要の増加を受け、2018年の生命保険料の総額は前年1億5660万ドルに対し、1億9640万ドルに達した。内訳は、一般保険料が8700万ドル、マイクロ保険が900万ドル、生命保険が9900万ドルと、初めて生命保険料額が一般保険料額を上回った。
2018年末時点で8つの生命保険会社、12の総合保険会社がカンボジアで営業している。生命保険分野では、政府と4つの外資系民間企業との合弁会社としてカンボジアライフ社が2012年に初めて市場に登場し、同年、カナダ系のマニュライフ、その後プルデンシャルと続けて進出している。生保、損保とも外国資本の保険会社が多く、カンボジア保険市場の成長を見越し外国から市場に参入する流れが続いていることがわかる。
生命保険、損害保険、マイクロ保険など現在27社の保険会社が加盟するIACのフイ・ヴァタロ会長は、「保険市場が国内GDPに占める割合は0.5~0.6%です。マーケットの成長余地は大きいため、外資系企業も興味はあるでしょう。参入の多さから、今後保険会社は競争にさらされます。価格競争に繋がるかもしれません」と保険業界の成長を受け、他国の大手保険会社の参入も目覚ましいという。