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2020年3月11日
カンボジア進出ガイド

【金融・保険】

302 カンボジアの金融・保険②(2020年1月発刊 ISSUE11より)

フィンテックとブロックチェーン技術 Fintec and Block chain technology

 これまで銀行口座保有率の低さがデメリットだったカンボジア。しかしそれを逆手に取り急成長を遂げているのがフィンテックの分野だ。

 決済サービスアプリ『パイペイ(PiPay)』は、これまでRHBインドシナ銀行、ABA銀行、サタパナ銀行、マイクロファイナンス機関のAMKなどと提携しシームレスな資金移動を実現させているほか、中国最大のオンライン決済サービスアリペイと提携するなど、業界で突出した成長を見せる。2020年までに年間200万人以上の中国人観光客を見込まれており、アリペイとの提携がその成長をさらに加速させるだろう。また、カンボジア最大のモバイル金融サービス企業のウィングも大手オンライン送金会社のワールドレミットも一部提携を開始した。

 日本企業のソラミツは、NBCと共にブロックチェーン技術を活用したデジタル決済「バコン」を開発し、2019年7月に正式導入に向けたテスト運用を開始した。すでに大手商業銀行のアクレダ銀行やPPCBankを含む9つの銀行や決済事業者と接続して、数千人のアクティブユーザーが実際の送金や店舗での支払いを行っている。ブロックチェーンを活用した中央銀行デジタル決済の実用化としてはカンボジアが世界初であり、金融包摂はもとより、金融政策力の維持や自国通貨の強化、銀行口座開設率の向上、電子商取引への対応、クロスボーダー取引などといった課題の解決が期待されている。

証券取引 Securities Trading



 カンボジア初であり唯一の証券取引所、カンボジア証券取引所(CSX)は2011年に発足し、現在はプノンペン水道公社(PWSA)やプノンペン自治港(PPAP)、プノンペン経済特別区(PPSP)、シアヌークビル自治港(SAP)などの上場企業がある。CSXのホン・ソク・ホーCEOは、「上場企業は、投資のための長期資本を調達するほか、法人税の50%減免措置も受けられる。年内中には3~4社の社債上場するだろう」と語る。

 2018年12月24日に総額4億4300万ドル、215万535株が取引され、史上最高の取引高を記録した。さらに株式時価総額は前年第1四半期末に5億3430万ドルに達し、これは前期4億4292万ドルから、約21%増加したことになる。

 CSXは、取引量を増やすために営業時間を午前8時から午後3時まで1日7時間と大幅に延長した。毎日午前8時から午前9時までオープニングセッションが開催され、その後午後2時50分まで取引が中断されることはなく、閉会セッションは午後2時50分から午後3時まで開催されている。

保険 Insurance



 カンボジア国立銀行によると、国内には13の一般保険会社、11の生命保険会社および7のマイクロ保険会社が運営されており、保険業界の総保険料は、過去5年間で年間平均35%増加している。2018年の総保険料は1億9640万ドルに達し、2019年には2億6000万ドルに達すると予測されている。2019年上半期の損害保険の総保険料は、前年同時期に比べ14.7%高い4930万ドルに上り、生命保険の保険料は前年同時期より55.3%高い6630万ドルであった。

 カンボジア保険協会(IAC)のフイ・ヴァタロ会長は、「保険業界の総保険料は、過去5年、毎年平均35%増え続けている。これは、経済財政省の政策・戦略が効果的に実施されたことによる成長である」と述べた。

 生命保険分野では、政府と4つの外資系民間企業との合弁会社としてカンボジアライフ社が2012年に初めて市場に登場し、同年、カナダ系のマニュライフ、その後プルデンシャルと続けて進出している。生保、損保とも外国資本の保険会社が多く、カンボジア保険市場の成長を見越し外国から市場に参入する流れが続いていることがわかる。

 また、すべての自動車の所有者に対して保険の加入を義務付ける新たな制度を導入する計画がある。


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