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2018年12月17日
カンボジア進出ガイド

【IT・通信】

267 カンボジアの通信・IT②(2018年11月発刊 ISSUE09より)

ITエンジニア IT engineer

  ITシステム関連サービスの品質が高まり、カンボジア人若手ITエンジニアの数は着実に増えつつある。しかしITの将来を担う人材としての競争力はまだまだ脆弱だ。その理由として、世界で戦えるIT人材の育成を目的とし、キリロム工科大学を設立したA2Aタウンの猪塚武氏は、「カンボジアにはITの専門家がおらず、レベルの高いIT会社がほぼありません。いい会社が少ないということはトレーニングする機会が少ないということ。ITのエコシステムができていないのは課題ですね。また、高校までの数学教育が弱いのも課題です。例えば人工知能技術を使える人材はいるけど、開発できる人材は少ないなど。特にサイエンス系のエンジニアを育てるのが難しいです。加えて、子供が親から学びとる部分が少なく、親の教育レベルが低いのも教育の問題点だと思います」と基礎教育のレベルの低さについても言及した。一方で、就職先としてエンジニアを希望する人材を増やすのも重要だ。

 

 郵便電気通信省は、カンボジアの情報通信技術産業(ICT)における人材育成を強化するため、日本政府と共同で人材育成プログラムを開始する。このプロジェクトにより、ICTの実践的なトレーニングおよび雇用創出、農村部におけるICT教育の促進を行う予定で、プロジェクトは4年間。今後数年以内にプノンペンの省庁職員の95%、地方公務員の75%にICTの基礎スキルを教えることが目標だという。

コワーキングスペースとビジネスコンテスト Co-working Space and Business Contest

 コワーキングスペースが、高速回線の環境があり、ネットワーク構築にも最適な場所としてスタートアップ企業や中小企業の間で人気が高まっている。利用する場所の広さや利用期間など、ニーズに応じて決めることができ、また利用者同士が活発に交流できることも特長だ。プノンペン最大のコワーキングスペースで、世界展開しているインパクトハブプノンペンのオリビア・ハウ氏は、「テクノロジーが私たちの今の生活の中で大きな部分を占めており、若い起業家がこれを使って良いものを生み出しています。私たちは、より多くのITスタートアップを目の当たりにしています。私たちは、起業家が地域社会や国にプラスの影響を与えるビジネスを創造し維持することを支援し、可能にすることによって、公正で持続可能なカンボジアを作りたいと考えています」と語る。



 コワーキングスペースでは様々なビジネスコンテストやハッカソンが開催されており、特に通信IT業界主催のものが目立つ。ISPのリーディングカンパニーとして、ミャンマー・タイ・カンボジアを結ぶ光海底ケーブルの建設計画をいち早く立ち上げ、ビジネスコンテストのスポンサーも努めるイージーコムCEOのポール・ブランシュ・ホルゲン閣下は、「オンラインビジネス、アプリサービス、キャッシュレス支払いなどが至るところで現れ、破壊的ともいえるイノベーションが起こっています。カンボジアの人々は、新技術に対し非常にオープンで受け入れられ易いといえます。適応、学習、採用するスピードが早いため、ICTの将来についてはポジティブに考えています」と語り、カンボジアでのビジネスにおいて、IT業界の存在感が益々高まりを見せるだろう。


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