【IT・通信】
カンボジアは、競争力を高め、ASEAN諸国に追いつくため、2023年までにデジタル経済への移行を目指している。郵便電気通信省によると、2017年には、前年比33.77%増の1億700万台以上の携帯電話が普及しており、うちインターネットに接続できるSIMカードは、人口の約67.19%にあたる1070万枚以上が発行されている。
移動通信業者は、現在はベトナム系キャリアであるヴィッテルを母体とするメットフォン、マレーシア系キャリアであるアクシアタを母体とするスマート、カンボジア有力財閥ロイヤルグループとルクセンブルグ系MCIの共同出資によるセルカードの3大キャリアが市場をほぼ制圧している。
小さな市場で競争が激化するなか、各通信キャリアは進化する顧客ニーズの取り込みに必死の様相だ。携帯通信各社で様々なプロモーションを行っており、実質の値引き合戦が進んでいる。カンボジア電気通信規制機関は、低コストのモバイル取引について、使用者らが恩恵を受けているとして認めたものの、価格競争によるサービス品質の低下を懸念し、混乱を生むようなプロモーションを避け、サービスの質を維持するよう警告している。
カンボジアはインターネットの分野で急速な成長を遂げている。郵便電気通信省によると、2017年のインターネット利用者は、前年比50万人増の850万人、固定インターネット加入者数は41%増の13万8672人に達した。
ますます加速するカンボジアのインターネット事業について、2006年にISPの先駆けとして、IT製品、データセンターなどをITソリューションとして顧客にワンストップで提供しているメコンネットのソク・チャンダ氏は、「近隣のアジア諸国では、データセンターやクラウドサービスはかなり広く普及しています。しかし、カンボジアでは、これまで各社が独自のサーバーを所有していたため、そのデータをデータセンターに移行することは非常に困難です。現在では、データセンター事業に注力しているISPはいくつかありますが、他の国に比べるとまだまだ大きな需要とは言えないでしょう。ソフトウェアやシステムが普及していくにつれて、今後はB to Bインターネット事業の需要も増加していくと思います。当社では、従来の共用サーバーより低コストであるVPS(仮想プライベートサーバー)にも注力しており、今後は地方や国境での地下ケーブルによるインターネット回線を検討しています」と話す。
一方、「さらに、新しい技術の導入も検討していますが、すべての新技術がカンボジアに浸透するというわけではありません。例えば約10年前、有線ケーブルやDSLの代わりにワイヤレスなブロードバンドアクセスを可能にするWIMAXという技術がカンボジアに導入されました。それはオフィス、自宅、車内でも使用でき、とても良い製品だと思われましたが、カンボジアでは浸透せず、数年後には、各企業が撤退してしまいました。このように、私たちは新技術がカンボジアに適応するかを判断し、必要に応じて変えなければいけません」とカンボジアのニーズに合わせたビジネス展開の大切さを語った。