【不動産】
プノンペンで最も地価が高い地域は、依然として都内中心部だ。特に、駐在員の中で最も人気があるエリアはボンケンコン1(BKK1)とトンレバサック(TB)だ。
カンボジアの不動産企業、CBREの報告書によると、プノンペンでは、2018年第1四半期に、主要地区の地価が前年同期比で1.2%、前年同期比で4.2%上昇した。一方、首都圏4地区の平均土地価格は、前期比1.4%、前年比5.4%で上昇した。
シェムリアップ州へと続く国道6号線に沿ったチョロイチャンバー区では、2010年から2016年にかけて平均20%の速い成長を繰り返したものの、チョロイチャンバー橋の改修工事などの影響により、第1四半期中に地価の上昇は見られなかった。しかし、中洲を結ぶインフラ整備が進むにつれ不動産開発が活発となれば、再び地価が高騰すると予想されている。
120年以上の歴史を持つ不動産コンサル会社、ナイトフランクのロス・ウィーブル氏は、「都市はあらゆる方向に成長しており、イオンモール2号店があるセンソック区は急速に発展しています。この地域では道路インフラの改善に多くの投資が集中しており、過去3年間で土地価格はほぼ100%上昇しました」と語り、投資先が都下にシフトしている。
また今後のカンボジアの地価について、ナイトフランクのロス氏は、「来年は選挙が予定されているので、市場は少し減速するでしょう。しかし、カンボジアの経済的な基礎を見ると、カンボジアの不動産は長年にわたって成長し続けると予想されます。成長率と土地価格の上昇に関しては、プノンペンでは年率約10%、他の地域では10%よりもはるかに高い可能性があります」と予測している。
プノンペンのオフィス供給量はグレードAを含め増加し、占有率も増加している。2014年にオープンしたヴァタナックキャピタルタワーに次いでプノンペン2番目のグレードAオフィスビルであるエクスチェンジスクエアのオープンに伴い、オフィススペースの市場はより多様化が進みつつある。
CBREの報告書によると、プノンペンのオフィススペースは2017年末に33万5000平方メートルに達し、占有率は2009年以来最高の約90%に上昇し、その要因を、中国から進出する企業やプノンペン企業の事業拡大によるものが大きいとした。
2018年第1四半期では、グレードAのオフィススペースの平均賃貸料はサービスチャージを除き、1平方メートル当たり28ドルから38ドルで、グレードBの建物は1平方メートル当たり平均15から26ドルであり、グレードCの建物の賃料は1平方メートル当たり8ドルから18ドルとなっている。今年も複数の新しいオフィスビルがプノンペンに建設される予定だ。
ナイトフランクのレポートによると、商業物件は現在16万2405平方メートル供給されており、2020年までには265%上昇し、約43万275平方メートルになると推測されている。現在の占拠率は、2017年上半期において90%と健全だ。
初の国際基準モールとなったイオンモールは現在も100%の入居率を保持、2018年にはセンソック区にイオンモール2号店も開店し、更には2018年2月から新しく30店舗を首都圏と周辺地域にオープンすると発表した。キーリアルエステートのソーン・シアップ氏も注目を置く地域として、「商業物件の賃貸の場合は、都心部では無く1番目にトゥールコック区、2番目にイオン2号店が建設予定のセンソック区が最適です。現在、多くの建設が進められています」と話す。
その他大型商業施設の建設ブームも続き、ドーンペン区では、約5ヘクタール、51億ドルを投じてプノンペン最大の商業施設泰文隆ツイントレードセンターの開発が発表された。これはショッピングモールやオフィス、コンドミニアム、高級ホテルなどを含んだ複合施設で、133階建てのツインタワーを42階建ての4棟が取り囲む。完了予定時期は2022年、完成すれば東南アジア最大ともなる。
ナイトフランクのロス氏は、「新しい商業用複合施設についても、既にかなりの事前申し込みを確保しています。」と語る。また、商業施設における変化として、インディペンデント・プロパティ・サービス(IPS)のカントリーマネージャー、グラン・フィッツジェラルド氏は、「コンドミニアムや住居、商業施設が増えるにつれて、プロパティマネジメントの重要性も増していますね。以前は、マネージャーを置くだけで入居者がいましたが、今は競合も多く、商業施設でもコンドミニアムでも専門性の高い、プロフェッショナルな企業が求められています」と述べる。