カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2018年6月25日
カンボジア進出ガイド

【金融・保険】

234 カンボジアの金融・保険②(2018年5月発刊 ISSUE08より)

マイクロファイナンス機関 Microfinance institution

 カンボジアマイクロファイナンス協会(CMA)によると、カンボジアには39のマイクロファイナンス機関(MFI)と6の地方信用機関の計45社がある。三菱UFJフィナンシャル・グループの一員である大手信販会社ジャックスの現地法人がカンボジアで事業を開始し、日本の中古販売業リネットジャパングループが資産約1210万ドルのMFIチャムロン・マイクロファイナンスの株式の90%を取得するなど、日系企業によるMFIへの参画は引き続き活発だ。



 NBCによると、国内のマイクロファイナンス業界における信用貸の伸びは、2014年から毎年50%以上の増加と急速な成長を見せたが、2016年3月にピークを迎え、2017年のローンポートフォリオは前年比25.5%増の40億ドルと緩やかな上昇に落ち着いている。理由としては、2017年4月にNBC主導で上限金利が年率18%となったことが挙げられ、これによりリエル建ての貸出金利が、米ドル融資の金利と同じ水準にまで低下している。融資先としては約33%が非商業目的で、その他の大半は小規模事業者、業種別では農業(26.9%)及び小売業(18.6%)が半数を占める。預金総額は35.6%増加し20億2000万ドルに達した。

 また、NBCは、首都圏外で活動する11のMFIを規制や法を遵守していないことを理由にライセンスを取り消している。

証券取引 Securities Trading

 カンボジア初であり唯一の証券取引所、カンボジア証券取引所(CSX)は2011年に発足し、現在はプノンペン水道公社(PWSA)、グランド・ツイン・インターナショナル(GTI)、プノンペン自治港(PPAP)、プノンペン経済特別区(PPSP)、シアヌークビル自治港(SAP)の5つの上場企業がある。現在マレーシアの証券取引所に上場しているマレーシア系電力供給企業、ぺステックカンボジアが2018年第3四半期を目標に新規株式公開を申請中だ。しかし取引は闊達とは言えず、上場企業数の増加が喫緊の課題だ。



 CSXのホン・ソク・ホー氏は、「CSXには「メインボード」と中小企業の上場を支援する「グロスボード」の2つの市場があります。メインボードには700万~750万ドルの株主資本が必要とされていますが、昨年立ち上げられたグロスボードの上場基準は50万ドルです。加えてIPOに対し、より効果的なサポートを行なう企業向けの教育プログラムを導入しました。中でも「上場誘致プログラム」は、経営者が株式市場をよりよく理解し、会計事務所、法律事務所、証券会社との関係作りをサポート内容となっています」と、上場要件の引き下げと手厚いサポートを挙げ、企業数増加への努力について語った。

 CSXによると、8000以上の取引口座があるが、現在活発な取引を行なっているのは、100程度の口座だ。また、取引口座の約50%はカンボジア人が保有しているが、限られた数の株式しか購入しておらず、取引量の約3分の1しか占めていない。今後はトレーダーの満足度にかかっている。投資家向け施策の一環として、CSXは今年3月、投資家と一般市民向けに、企業情報や株価、最新ニュースや株式関連を話題にするチャットルームなど、証券取引所の情報をより簡単に入手できるウェブサイトとアプリを立ち上げており、また今年からカンボジア証券取引委員会(SECC)によるデリバティブ取引の手数料の引き下げが行われている。

保険 Insurance

 カンボジアに保険の概念が来たのはわずか5年前。現在カンボジアには、7社の損害保険会社と6社の生命保険会社がある。カンボジア保険協会(IAC)によると、2017年の保険業界の総保険料は、前年の1億1350万ドルに対し26%増の1億4920万ドルに到達。内訳として、損害保険が前年度比7%増の約7540万ドルだったのに対し、生命保険は56%増の6750万ドルへと急増を見せ、カンボジア人の財務およびリスク管理に対する需要の高まりを示している。

 2005年に設立され、生命保険、損害保険、マイクロ保険など現在27社の保険会社が加盟するIAC会長フイ・ヴァタロ氏は、「保険市場が国内GDPに占める割合は0.5~0.6%です。マーケットの成長余地は大きいため、外資系企業も興味はあるでしょう。参入の多さから、今後保険会社は競争にさらされます。価格競争に繋がるかもしれません」と保険業界の成長を受け、他国の大手保険会社の参入も目覚ましいという。第一生命ホールディングスは、日系初の生命保険会社として2017年に完全子会社を設け、2018年度中の営業開始を目指す。


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