【マーケティング・メディア】
カンボジアにおけるソーシャルメディアの雄はフェイスブックである。フェイスブックの調査によると、2017年の利用者数は昨年より140万人増加し、480万人にのぼる。実に国民の3人に1人が利用していることになる。男女比は6対4で、76%が18歳から34歳、82%がプノンペン在住者であることから、都市部に特化した強力なメディアであるといえる。
カンボジア人向け媒体「クーポンキング」を運営している、スタンディングオンザブリッジ代表の清野裕司氏は、「フェイスブック上で有名なインフルエンサー達がいますが、徐々に影響力は弱まってきていると思います。その理由として、インフルエンサーの数が増えた、ユーザーの経験値が上がった、他のメディア利用が増えてきた、などが挙げられます」と語った。実際に、2017年にはインスタグラムが台頭してきて、11万人を超えるアクティブユーザーを抱えるようになった。
オンラインショッピングサイトの先駆者であるリトルファッションのCEO、イン・ビチェット氏も、「我々の顧客は、フェイスブックからウェブサイトへ流れてくるのはもちろん、検索エンジンから来る人も増えました。また店舗に来た方が、次回からはウェブサイトで購入するなど、入口の幅は広がりました」と分析し、また同氏は、「インスタグラムにも力を入れています。これはブランディングの意味が強いです」とフェイスブック以外への広がりを示唆した。
ラジオは175局あるが、4局で43%の視聴率を占める、寡占状態だ。ラジオのマーケットは大きいが、広告主が分散するため、広告費が非常に安いのが特徴。また、国内のほとんどを網羅し、特にネットやテレビではカバーできない農村部まで浸透させることができる。ラジオの内容は、70%~80%が若者向けのエンターテイメント性の高い番組を放送している。
情報省に登録されている紙媒体だけで460誌(紙)ある。そのうち定期発行しているものが50誌。上位4紙で57%の購読率、一日9万部平均で発行されている。
新聞は、弊社調べでは、事故などの三面記事を多く載せていることが特徴のカッサンテピアップの販売数が一番多い。非常にわかりやすいメッセージのため、ある程度広い層に読まれている。また、求人広告の掲載も多いため、求職者が多く購読する傾向もある。
一方、プノンペンポストやクメールタイムズなどの英字新聞は国際ニュースをメインに扱っており、在住外国人や現地知識人をターゲットとしている。
今後の可能性について、在住外国人などに人気の英字新聞プノンペンポストを発行しているポストメディアの編集長、カイ・キムソン氏は、今後新聞は「デジタルメディア化・ソーシャルメディア化」が一層進むとの見方を示した。
同氏は、「デジタルメディアは、急速に拡大したインターネットによって、現在最も確かで高い読者到達率を誇り、同様に読者や広告主にとっては最も重要となります。2012年5%だった普及率は2015年には既に約35%となり、デジタルやメディアの消費はインターネットの普及に直接反射されます。プノンペンポストのクメール語のニュースサイトは2012年には毎月30万以下の閲覧者数が、2015年には毎月150万にまで成長した」と付け加え、今後の紙とデジタル双方での成長を示唆した。またソーシャルメディアはデジタルメディアへの誘導口、記事拡散の手段として活用されている。
雑誌、フリーペーパーは、カンボジア人を対象にしたクメール語のものや、英語、中国語、韓国語など各国外国人向けに発行しているものがあり、それぞれのマーケットに告知するのに効果的である。