カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2017年12月8日
カンボジア進出ガイド

【マーケティング・メディア】

219 カンボジアのマーケティング・メディア①(2017年11月発刊 ISSUE07より)

テレビ Television

 アルコール飲料広告の金曜日午後6時から午後9時のテレビ広告を禁止する新しい法律が施行され、またタバコ広告も禁止されるなど、カンボジアの広告業界はグローバルスタンダード化してきている。

 カンボジアで最も消費率の高いメディアは、テレビである。インターネットはその急速な成長によりラジオを抜き2位になっており、特に都市部ではそれが顕著である。それに次ぐ新聞、雑誌などの紙メディアのほとんども都市部で消費されており、これらは物流コストが地方のマーケットサイズに合わないためだ。このように都市部ではメディアの選択肢が増えているが、地方では限られたコミュニケーション手段しかない。

 実に96%のカンボジア人がテレビを視ている。23チャンネルあり、そのうち9チャンネルの視聴者が91%を占めている。1社で複数チャンネルを持っており、実質は4社の寡占状態となっている。カンボジアのメディアの中でテレビのメリットとして、地方や教育を受けていない層にも情報が届くということが挙げられる。



 最大手テレビ会社CBSの人気チャンネルMyTVのゼネラル・マネージャー、リム・クンスルン氏は、「人口の70%を占める若年層をメインターゲットとして放送をしています。トレンドの変化にもいち早く対応し、韓国の音楽を扱う番組やインドのドラマ番組などカンボジアにはない新しいコンテンツを視聴者に提供しているため、カンボジアで最も人気のあるコンテンツプロバイダーとなっています」とテレビ局がコンテンツ提供者として依然他のメディアよりも優位な立場にあると話す。統計としても、カンボジアではテレビが他のマスメディアに比べ圧倒的なメディア占有率を誇っており(下図参照)、主要テレビ局を中心にあらゆるメディアの広告を取り扱う広告代理店adsマーケティングソリューション(ams)のトーチ・チャンセレイワット氏は、「カンボジアで全国的に自社のブランドイメージ、製品、商品を短期間で幅広く消費者に伝えるためにはテレビCMが現在最も効果的」との見解を示している。





ウェブメディア Online Media





 テレビの次に多く認知されているのがインターネットであり、国民の32%がユーザーである。ただし、テレビと違い、都市部と地方では格差がある。都市部の45%に対し、地方では28%にとどまる。一日複数回ネットにつなぐという層も都市部では59%にのぼる。

 端末で一番多いのが携帯電話(スマートフォン、ガラケー含む)で47%。デスクトップ、ノートパソコンが45%で、タブレットは8%にとどまる。プノンペンで電話を保持する人の半分がスマートフォンである。

 一番多くみられているサイトはフェイスブック、ユーチューブ、グーグルであるが、上位4位以下10位すべてニュースサイトが占めている。

 ラジオ、インターネットニュースなど幅広い事業を行っているDAPメディアセンターのソイ・ソピーア氏は、「弊社は2つウェブサイトを持っており、若年層や、教育を受けた人々にフォーカスしています。教育を受けていない人々はオンラインでウェブサイトを検索できませんから。1つ目のDAPウェブサイトは、一般の人々や政治イシューに興味のある読者をターゲットとしています。2つ目のルッキング・トゥデイは、社会ニュースや科学、エンタメ、技術、国際ニュースを読む若年層をターゲットにしています。中でも、セレブニュースや技術に関するニュースが人気です」とターゲット像を明確にした。2つ合わせた閲覧数は一日20万人に上るという。



 インターネットの使用が盛んになっている理由について、毎月2000万のページビュー数と250万の訪問者数を誇るサバイ・ドットコムを運営するサバイデジタルコープのチー・セラ氏は、「私の時代はインターネットを使用する若者もおらず、本やメディアを通して知識、情報を得る機会もありませんでした。日本では本や他メディアを通してあらゆるものにアクセスできると思います。しかしカンボジアに突如インターネットが参入し、何百万というウェブサイトやモバイルアプリを利用することができるようになりました。カンボジアでは、ニュース情報を得るのにわざわざ外出し新聞を購入する必要はありません。検索しなくても、フェイスブックを見れば誰かが最新ニュースを共有しています。すぐに情報が手に入る時代です。そのためカンボジアの人々はインターネットを通じて、情報を知るのを好むのだと思います」と見解を述べた。


その他の「マーケティング・メディア」の進出ガイド

マーケティング・メディア
マーケティング・メディア
マーケティング・メディア