【不動産】
住居として外国人に人気の高いエリアは、チャムカーモーン区のボンケンコン1地区(BKK1)。プノンペンの富裕層エリアといわれており、カフェ激戦区となっている。しかし、家賃が高いため、いろんなエリアに少しずつ分散が進み、その周辺のボントラバエク地区(BTK)、トゥールトンポン地区(TTP)、ボンケンコン1、2地区(BKK2、3)、トンレバサック地区(TB)、プノンペンタワー裏の人気も高い。ボントラバエク地区やトンレバサック地区南部は新興住宅地で比較的新しい建物が多く、日本人が増えているエリアだ。また、ここに日本食屋などが並ぶ「絆ストリート」もある。立地的にPPSEZに勤務している方が多く住むトゥールコーク区のボンコック1、2地区(BK1、2)も高級住宅街として知られているが、設備の割に価格が抑えられた物件が多い。また、ロシアンマーケットの辺りも人気が上昇しており、比較的家賃が安価であることから欧米人を中心に外国人からの注目が集まっているエリアだ。
また今後開発が期待される地区として、IPSのフィッツジェラルド氏は、「ドーンペン区はまだ開発途中で、ロシアンマーケットと比べても、コンドミニアムやサービスアパートメントはあまりありません。しかし土地が広く、ホテルや駐在員向けサービスアパートメントなど、開発が見込まれるエリアです」と語った。
カンボジアの住居形態は、サービスアパート、コンドミニアム、ヴィラ(一軒家)、プテアロベーン(フラット)などがある。サービスアパートは24時間警備のほか、プールやジム、部屋の掃除や洗濯など、ハード面だけでなく、ソフト面も充実している物件が多い。
トゥールコーク区に日本クオリティのサービスアパートを提供するレオパレス21カンボジアの小林良銑氏は、「4重のセキュリティーを1枚のカードキーにて対応、キッチンとの動線を考えた冷蔵庫の開閉(右・左開き)、全てのお部屋タイプにバスタブ(給湯200リットル)の設置など、安心と使い勝手の良さの視点にて仕上げました。ハード(設備)とソフト(サービス)両方兼ね備えた形のグレードSという位置付けで将来的にトゥールコーク区のシンボル的物件になればと思います」と語った。仕事に集中するためにも住環境の整備は大切であることから、賃貸物件の選択には十分留意したい。
ボナリアルティグループの調査によると、プノンペンにおけるアパートの入居率は2015年の90%から2016年は82%へと低下傾向。これは住宅物件の供給増加を受けた数字とみられる。
賃貸価格についてナイトフランクの専門家は、住宅物件の急増によって占有率と賃貸価格が影響を受けると指摘しており、今後は供給量の増加を受け価格が減少することも予想している。またコンドミニアムに対抗するべく、プールや駐車スペース、ジムなどのサービスを備えた物件も増えており、古いアパートはすでにテナントの約30~40%を失っているところもあるのが現状だ。
住宅物件の開発が進む一方で、その供給が需要に見合っていないという指摘も挙がっている。カンボジアの大部分を占める低中所得者向けのプロジェクトも進められている。アーバン・リビング・ソリューション社が今年4月にも中間所得層が購入可能な低価格コンドミニアムを建設開始予定。ワールドブリッジ社と政府も共同で低所得層向けの住宅建設プロジェクトを進めており、2019年に完成予定だ。今後、需要に見合ったプロジェクトが求められていくだろう。
不動産購入に関して、キーリアルエステートのソーン氏は、「不動産購入をするなら、需要と供給の関係から売り手が多いときに購入し、買い手が多い時に売るのがベストです。今は買い手が多くありませんから、今年か来年が狙い時だと思います。ただ気をつけてほしいこととして、カンボジアでは日本人を含め、外国人が土地を所有することはできません」と語る。
カンボジアでは憲法第44条において、外国人または企業が土地を所有することはできないと明記されているが、例外として土地を購入するためには、クメール資本51%以上の合弁会社により購入する等の条件がある。まず、購入する土地を選定する上で、売手の持っている書類がハードタイトルかソフトタイトルかを確認する必要がある。
一方で、コンドミニアムなどを小規模のオフィススペースとして区分所有する方法もある。コンドミニアムは当初は建築者の名義で所有権が登記され、分譲されると新しい所有者の名義が登記されるとともに、各戸の所有者に対しハードタイトルが発行される。これらは、コンドミニアムなどの区分所有建物を建築する場合の義務とされている。