カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2017年6月29日
カンボジア進出ガイド

【マーケティング・メディア】

193 カンボジアのマーケティング・メディア②(2017年05月発刊 ISSUE06より)

フェイスブックとバイラルマーケティング Facebook and Virales Marketing



 フェイスブック調べによると、フェイスブックはネットユーザーの68%が利用している。いわゆるガラケーからも一部の機能は使えるので、男女比は6対4。最も多いユーザー層は18歳から24歳である。

 一日65万ページビューを獲得するクラシックファイドサイト「クメール24」のゼネラルマネージャー、ティ・ラディ氏はフェイスブックの人気について、「情報の集めやすさ、発信のしやすさがその大きな理由だと思います」と述べ ている。

 カンボジアでも多くの企業が、広告・宣伝活動にフェイスブックマーケティングを取り入れている。そして、これもカンボジアの特徴であるが、いいね! も比較的簡単につきやすい。しかしフェイスブックが万能かといえば、そういう訳でもない。例えば、「携帯電話の情報を扱っている有名なフェイスブックページは3万いいね! を獲得しています。一方で私の教え子が作った同じようなウェブサイトは10万いいね! を獲得しました。ですから、一概にいいね! の数で効果があるとは言えないと思います」とクメール24のティ氏

 ある程度の認知には効果的ではあるが、他のマーケティング手段、メディアを併用して相乗効果を狙うことが必要のようだ。実際に、フェイスブックで自社サービスの宣伝をしても、そのまま購買や来店につながることは簡単ではない。

 「クーポンキング」を運営しているスタンディングオンザブリッジ代表の清野裕司氏は、「日本で言うところのブロガーのように、フェイスブックで有名なフェイスブックスターという存在が多くいます。彼らの投稿は、プノンペンの若者に多く指示され、一投稿で数千いいね!がつくことは珍しくありません。彼らのような存在にアピールしてもらうのもコストパフォーマンスの高いひとつの方法です」と語った。

 まだまだプロモーション告知の意味ではフェイスブックの一強状態ではあるが、プノンペンの若者を中心に、ライン、スカイプ、バイバー、インスタグラム、ツィッターなど他のソーシャルメディアの利用が増えてきているので、フェイスブックだけでなく、複数のソーシャルメディアを使い分ける必要性がだんだん強くなってくるだろう。

 オンラインショッピングサイトの先駆者であるリトルファッションのCEO、イン・ビチェット氏は、「我々の顧客は、フェイスブックからウェブサイトへ流れてくるのはもちろん、検索エンジンから来る人も増えました。また店舗に来た方が、次回からはウェブサイトから購入されたりと、入口の幅は広がりました」と分析した。また、「インスタグラムにも力を入れています。これはブランディングの意味が強いです」とフェイスブック以外への広がりを示唆した。

ラジオ Radio



 ラジオは175局あるが、4局で43%の視聴率を占める。寡占状態である。ラジオのマーケットとしては大きいが、広告主が分散するため、広告費が非常に安いのが特徴。しかも国内のほとんどを網羅し、特にネットやテレビではカバーできない農村部まで浸透させることができる。ラジオの内容は、70%~80%が若者向けのエンターテイメント性の高い番組を放送している。

 一方、DAPのソイ氏は、「ラジオの周波数が小さくなりつつあり、広範囲のリスナーに届きにくくなってきました。なので弊社はオンラインでも放送をし、より多くのリスナーを獲得しています」と、現状の問題点にも言及した。

新聞・雑誌(紙媒体) Newspapers and Magazine



 情報省に登録されている紙媒体だけで460誌(紙)ある。そのうち定期発行しているものが50誌。上位4紙で57%の購読率、一日9万部平均で発行されている。

 新聞は、弊社調べでは、事故などの三面記事を多く載せていることが特徴のカッサンテピアップ新聞が一番販売数が多い。非常にわかりやすいメッセージのため、ある程度広い層に読まれている。また、求人広告の掲載も多いため、求職者が多く購読する傾向もある。

 一方、プノンペンポストやカンボジア・デイリーなどの英字新聞はインターナショナルニュースをメインに扱っており、在住外国人や現地知識人をターゲットとしている。カンボジアで英語・クメール語併記の初の日刊紙を発行したカンボジア・デイリー、副発行者のデボラ・クリッシャー・スティール氏は、「カンボジア・デイリーの読者は、教育を受けたカンボジア人と在住外国人が中心。クメール語版も発行し、地方へも配布していますが、読んでいる人がいるかというと、数は限られてくると思います。街は発展していきますが、地方は変わっておらず、字が読める人と、そうでない人とのギャップは大きいのです」と述べた。

 一方、新聞社の運営するフェイスブックページに関しては英字新聞プノンペンポスト紙のクメール語版、ポストクメールのフェイスブックページが420万いいね! を達成し、国内で3番目にいいね! 数を記録するなど、現在紙媒体からデジタルメディアへと移行が進んでいる。



 今後の可能性について、在住外国人などに人気の英字新聞プノンペンポストを発行しているポストメディアのカイ・キムソン氏は、今後新聞は「デジタルメディア化・ソーシャルメディア化」が一層進むとの見方を示した。

 同氏は、「デジタルメディアは、急速に拡大したインターネットによって、現在最も確かで高い読者到達率を誇り、同様に読者や広告主にとっては最も重要となります。2012年5%だった普及率は2015年には既に約35%となり、デジタルやメディアの消費はインターネットの普及に直接反射されます。プノンペンポストのクメール語サイト、postkhmer.comは2012年には毎月30万以下の閲覧者数だったにも拘らず、2015年には毎月150万にまでなりました」と付け加え、今後の紙とデジタル双方での成長を示唆した。またソーシャルメディアはデジタルメディアへの誘導口、記事拡散の手段として活用されている。

 雑誌、フリーペーパーは、カンボジア人を対象にしたクメール語のものや、英語、中国語、韓国語など各国外国人向けに発行しているものとがあり、それぞれのマーケットに告知するのに効果的である。


その他の「マーケティング・メディア」の進出ガイド

マーケティング・メディア
マーケティング・メディア
マーケティング・メディア