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2017年6月29日
カンボジア進出ガイド

【マーケティング・メディア】

192 カンボジアのマーケティング・メディア①(2017年05月発刊 ISSUE06より)

テレビ Television



 カンボジアで最も消費率の高いメディアは、テレビである。インターネットはその急速な成長でラジオを抜いて2位になっている。特に都市部ではそれが顕著である。それに次ぐ新聞、雑誌といった紙メディアのほとんども都市部で消費されている。これは物流コストが地方のマーケットサイズに合わないためだと考えられる。このように都市部ではメディアの選択肢が増えているが、地方では限られたコミュニケーション手段しかないのが現状である。

 実に96%のカンボジア人がテレビを視ている。23チャンネルあり、そのうち9チャンネルの視聴者が91%を占めている。1社で複数チャンネルを持っており、実質は4社の寡占状態となっている。




 最大手テレビ会社CBSの人気チャンネルMyTVのリム・クンスルン氏は、「カンボジア人口の70%を占める若年層をメインターゲットとして放送をしています。トレンドの変化にもいち早く対応し韓国の音楽を扱う番組やインドのドラマ番組などカンボジアにはない新しいコンテンツを視聴者に提供し、カンボジアで最も人気のあるコンテンツプロバイダーとなっています」とテレビ局がコンテンツ提供者として依然他のメディアよりも優位な立場にあると話す。統計としても、カンボジアではテレビが他のマスメディアに比べ圧倒的なメディア占有率を誇っており(下図参照)、主要テレビ局を中心にあらゆるメディアの広告を取り扱う広告代理店adsマーケティングソリューション(ams)のトーチ・チャンセレイワット氏は、「カンボジアで全国的に自社のブランドイメージ、製品、商品を短期間で幅広く消費者に伝えるためにはテレビCMが現在最も効果的」との見解を示している。



 テレビ局は国際的な視聴率の調査会社を利用し、毎月データを購入し、それによって広告料金を決めている。また、プノンペン、シェムリアップなど主要都市の視聴者を対象に、広告の効果測定のための視聴率調査や市場調査を定期的に行っており、CMスポンサー各社の広告戦略の改善に生かされている。

 広告代理店amsのトーチ氏は、「amsのように広告戦略の策定から、広告制作、広告枠の提供、実施、その後の効果測定分析までトータルで行う代理店もあります。CM広告料は日本の約10分の1程度です(※放送局、時間帯によって変わる)」と話し、カンボジア国内のテレビにおいても、信憑性のある視聴率やマーケティングデータを元にした広告戦略を行うことが可能との見方を示した。



 また、イベントなどでテレビ局にお金を払って取材してもらうということも、その是否は置いておいても、安価にできる。ただ、これも近年は徐々に正常化してきていて、国際基準に追いつきつつある。お金を介在せずに、取材と情報提供のバーターなどが成り立ってきている。こういったことも、近年のソーシャルメディア出現の影響だと思われるが、古くからある企業は新しいメディアに手を出さずに従来の新聞やテレビにお金をかける傾向にある。

ウェブメディア Online Media





 テレビの次に多く認知されているのがインターネットであり、国民の32%がユーザーである。ただし、テレビと違い、都市部と地方では格差がある。都市部の45%に対し、地方では28%にとどまる。一日複数回ネットにつなぐという層も都市部では59%にのぼる。


 端末で一番多いのが携帯電話(スマートフォン、ガラケー含む)で47%。デスクトップ、ノートパソコンが45%で、タブレットは8%にとどまる。プノンペンで電話を保持する人の半分がスマートフォンである。

 一番多くみられているサイトはフェイスブック、ユーチューブ、グーグルカンボジア、グーグルであるが、上位4位以下10位すべてニュースサイトが占めている。



 ラジオ、インターネットニュースなど幅広い事業を行っている DAPメディアセンターのソイ・ソピーア氏は、「弊社は2つウェブサイトを持っており、若年層や、教育を受けた人々にフォーカスしています。教育を受けていない人々はオンラインでウェブサイトを検索できませんから。1つ目のDAPウェブサイトは、一般の人々や政治イシューに興味のある読者をターゲットとしています。2つ目のルッキング・トゥデイは、社会ニュースや科学、エンタメ、技術、国際ニュースを読む若年層をターゲットにしています。中でも、セレブニュースや技術に関するニュースが人気です」とターゲット像を明確にした。2つ合わせた閲覧数は一日20万人に上るという。


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