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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【マーケティング・メディア】

161 カンボジアのマーケティング・メディア②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

ラジオ Radio

 175局あるが、4局で43%の視聴率を占める。寡占状態である。ラジオのマーケットとしては大きいが、広告主が分散するため、広告費が非常に安いのが特徴。しかも国内のほとんどを網羅し、特にネットやテレビではカバーできない農村部まで浸透させることができる。ラジオの内容は、70%~80%が若者向けのエンターテイメント性の高い番組を放送している。



 ラジオ広告の利用方法について、「これはカンボジアの教育水準にも関係することですが、文字から情報を得ることに慣れていない人たち、農場や工場のワーカーを募集などといった告知にはいいですね。逆に知識人が視聴するとすれば、海外ラジオ番組やTV番組です」とトメイトメイ・ ドットコムのキー氏は述べている。

 一方、DAPのソイ氏は、「ラジオの周波数が小さくなりつつあり、広範囲のリスナーに届きにくくなってきました。なので弊社はオンラインでも放送をし、より多くのリスナーを獲得しています。」と、現状の問題点にも言及した。

新聞・雑誌(紙媒体) Newspapers and Magazaine

 情報省に登録されている紙媒体だけで460誌(紙)ある。そのうち定期発行しているものが50。上位4紙で57%の購読率、一日9万部平均で発行されている。

 新聞は、弊社調べでは、事故などの三面記事を多く載せていることが特徴のカッサンテピアップ新聞が一番販売数が多い。非常にわかりやすいメッセージのため、ある程度広い層に読まれている。また、求人広告の掲載も多いため、求職者が多く購読する傾向もある。

 一方、プノンペンポストやカンボジア・デイリーなどの英字新聞はインターナショナルニュースをメインに扱っており、在住外国人や現地知識人をターゲットとしている。

 カンボジアで英語・クメール語併記の初の日刊紙を発行したカンボジア・デイリー、副発行者のデボラ・クリッシャー・スティール氏は、「カンボジア・デイリーの読者は、教育を受けたカンボジア人と在住外国人が中心。クメール語版も発行し、地方へも配布していますが、読んでいる人がいるかというと、数は限られてくると思います。街は発展していきますが、地方は変わっておらず、字が読める人と、そうでない人とのギャップは大きいのです」と述べた。



 今後の可能性について、在住外国人や現地知識層に人気の英字新聞プノンペンポストを発行しているポストメディアのジュリアス・タイマン氏は、「人口増加においてカンボジアはまだ発展初期にあり、すべてのメディアに成長する余地があります。中でも物流・郵便サービスは発展中であり、地方へ新聞を配布する手段は、時間が経つにつれて解消するでしょう。その点では遠隔地での新聞部数の増加を意味し、世界的な動向には反しますが、カンボジアでは成長するチャンスがあるかもしれません」と語った。

 またオンラインニュースの可能性についても、「デジタルメディアは、急速に拡大したインターネットによって、現在最も確かで高い読者到達率を誇り、同様に読者や広告主にとっては最も重要となります。2012年5%だった普及率は2015年には既に約35%となり、デジタルやメディアの消費はインターネットの普及に直接反射されます。プノンペンポストのクメール語サイト、postkhmer.comは2012年には毎月30万以下の閲覧者数だったにも拘らず、2015年には毎月150万にまでなりました」と付け加え、今後の紙とデジタル双方での成長を示唆した。

 雑誌、フリーペーパーは、カンボジア人を対象にしたクメール語のものや、英語、中国語、韓国語など各国外国人向けに発行しているものとがあり、それぞれのマーケットに告知するのに効果的である。

バズ・マーケティング Buzz Marketing

 現代のカンボジアは、流行のもの、良いものは積極的に宣伝する傾向があり、バズマーケティング、バスマーケティング(口コミ)が有効となる。また、その背景について「カンボジアには自国生産のものが少ないので、新しい商品やサービスが入ってきたときに判断軸がないんです。だから、使ってみないとわからない。その為信頼している人が、これは良いと言えば、広まりやすいんです」と、アナログからフリーペーパーまでローカル戦略を手掛けるメイツグローバルコミュニケーションズの柳内学氏は語る。リトルファッションのイン氏は、「最近は男性向け商品を増やしていて、こちらは、もともとのターゲットである女性の口コミを利用しています。なので、カップル向けにセット販売にしたりなど工夫しています」と、バスマーケティングの具体例を述べた。


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