【不動産】
アジア太平洋に強いネットワークを持つ不動産会社CBREのレポートによると、プノンペンの地価が2015年は対前年比で8.4%上昇したとしている。特にプノンペンの北西に位置するセンソック区はインフラ開発で急速な成長をしており、2013年末まで平方メートルあたり380ドルだったが、2016年前半には平方メートルあたり690ドルと増加を見せる。一方、トゥールコーク地区は、2013年の2150ドルから、2016年初めは2530ドルと前年比6%増加したが、多くで開発や建設機会が進んでいるため、ほとんど地価は頭打ち状態だ。
カンボジア不動産協会の会長を務めるクメールリアルエステートのキム・ヒアン氏は、「カンボジア全体の人口が約1600万人、そのうち70%は36歳以下で、プノンペンの人口は約300万人です。20万人~30万人が毎年教育や就職、ビジネス目的で地方から移住してきます。今後5年間でプノンペン人口が400万~500万人に増えると予測しています。この人口増加が地価を吊り上げています」と語る。
このようなプノンペン中心部から郊外への住居移転ブームは中心部の交通状況悪化によるもので、地価の急速な上昇とニュータウン建設の要因となっている。
不動産業界で10年近くの経歴を持ち、カンボジア不動産協会の副会長でもある、センチュリー21・メコンのチレク・ソクニム氏は、「プノンペンでは今後、郊外4つのエリアが発展していくと思います。1つはトゥールコーク区北部からセンソック区のクラントノン地区、そして国道5号線までのエリア、北部郊外にあるリーヨンパット橋付近までのところは近い将来とても良いエリアになると思います。現在イオン2号店もこのエリアに建設が予定されています。2つ目は、国道5号線と6号線の間のエリア。カンボジア日本友好橋から国道5号線と6号線を通ってリーヨンパット橋付近までのところです。OCICとリーヨンパットグループによって開発され、ヨンパットエリアと呼ばれます。3つ目はフンセンルートと呼ばれるエリアです。4つ目は国道1号線南側のエリアです。地価はどんどん高くなっています」と語る。
CBREのジェームス・パデン氏は、「プノンペン南側に開発予定のING市衛星都市計画や、チョロイチョンバーには大規模計画がありますが、これらは、インフラ整備の恩恵を受け、今後数年間に渡り、アクセス環境がかなり良くなる可能性があります」と話す。また同氏は、「不動産価格は上昇していますが、シンガポールや香港に比べるとまだ低いですし、利回りも魅力的です。しかし、絶対安心だという保証は低いため、投資家は最高のチャンスを見極めるため、市場を学ぶために時間を費やすべきです」と付け加えた。
不動産総合コンサル会社ナイトフランクカンボジアの最新レポートによると、2016年上半期、プノンペンに3つのオフィスビルが完成しており、都市部におけるオフィス供給は大きく加速している。メイバンク・ビルディング、エメラルドタワー及びプレミアオフィス・ビルディングの3棟を合計して1万2581平方メートルが供給されたことにより、現在、都市部には22万5178平方メートルのオフィススペースがある。これは半年前と比較し、5.9%の増加であり、また3、4年先には現在より80.7%の増加を見込んでいるという。
オフィスの供給についてCBREのパデン氏は、「オフィス市場は、賃料も毎年増加しており供給のパイプラインも問題なく、非常に健康と言えますね。オフィス市場の面白い点は、土地や一般住宅に比べて、投資家が直接持てる物件がほとんどだという事です。品質面では、国際標準クラスのグレードの高い物件が人気です。今後、品質の高いオフィス物件は希少価値がつき、空き物件は限られるでしょうね」と話す。
CBREカンボジアの最新レポートによると、2016年第1四半期のオフィススペースの占有率は74.4%であり、賃貸可能スペースは国内外からの需要の拡大にもかかわらず僅かに低下した。賃貸スペースは3つのグレードに分けられ、賃料相場はグレードA 28ドル/㎡、グレードB 20ドル/㎡、グレードC 10~15ドル/㎡と安定的に推移している。レポートによると、2016年第2四半期時点で、オフィススペースの過半数はグレードCであり、中心商業地区と非中心業地区の平均は14.6ドル/㎡と12.8ドル/㎡と、2015年の平米単価と比較して僅かに値下がりした。現在はグレードCのオフィススペースが多くを占めているが、デベロッパーやテナントの趣向はグレードA・Bのオフィスに大きく変化しており、多くのグレードCのオフィスはもはや市場の需要に合っていない。レンタルオフィスの価格帯は1平方メートル9ドルから38ドルとなっている。