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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【不動産】

149 カンボジアの不動産②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

商業物件の賃貸 Renting of commercial space



 商業物件の場合、セキュリティはもちろん、電力の安定供給や衛生面など、住宅やオフィスに比べて勘案事項が多く、投資回収にあたり、改装費用やデポジット、契約期間など様々な側面を考慮する必要がある。

 2012年創業の日系不動産会社ライフ・デザイン・パートナーズの青山英明氏は、「日本と比べて相場が無いので安く抑えようと思えばいくらでも安くなるのがカンボジアですから、下は色々とありますし、上は日本並みの価格の物件があります。選択肢の幅が広いのがカンボジアの特徴ですから、戦略を決めずにブレると、物件条件が変わってしまうため、なかなか良い物件には出会えません。まず戦略を決めて、狙う顧客層を決めて、物件を選択する。カンボジアに来るとあれもこれもと目移りしがちです。最低限のマーケットリサーチを最初にして戦略を決めてから取り組む事をお勧めします」と語る。

 一方で、初の国際基準モールとなったイオンモールは2016年で開店2年を迎え、現在も100%の入居率を保持、2018年にはトゥールコーク区にイオンモール2号店も開店予定だ。その恩恵を受け、中心街全体の商業スペースは2015年は空室率22%と、前年同期の25%から改善している。

 その他大型商業施設の建設ブームも続き、2016年にはプノンペン唯一のカジノホテル、ナーガ・ホテル内に国内初の高級ブランドのアウトレットショップがオープンし、2016年末にはマレーシア系のパークソンがプノンペン空港近くに5万7000㎡の「パークソン・シティセンターモール」をオープンさせる。パークソンは、350ヶ所ある小売スペースのうち80%以上がすでに埋まり、世界的な有名ブランドを含むブティックや各種飲食店などが入居予定。

 またドーンペン区では、約5ヘクタール、51億ドルを投じてプノンペン最大の商業施設泰文隆ツイントレードセンターの開発が発表された。これはショッピングモールやオフィス、高級ホテルなどを含んだ複合施設で、133階建てのツインタワーを42階建ての4棟が取り囲む。完了予定時期は2019年、完成すれば東南アジア最大ともなる。

住宅の賃貸 Rental Housing

 住居として外国人に人気の高いエリアは、チャムカーモーン区のボンケンコン1地区(BKK1)。プノンペンの富裕層エリアといわれており、カフェ激戦区となっている。しかし、家賃が高いため、いろんなエリアに少しずつ分散が進み、その周辺のボントラバエク地区(BT)、トゥールトンポン地区(TTP)、ボンケンコン1、2地区(BKK2、3)、トンレバサック地区(TB)、プノンペンタワー裏の人気も高い。ボントラバエク地区やトンレバサック地区南部は新興住宅地で比較的新しい建物が多く、日本人が増えているエリアだ。また、ここに日本食屋などが並ぶ「絆ストリート」もある。立地的にPPSEZに勤務している方が多く住むトゥールコーク区のボンコック1、2地区(BK1、2)も高級住宅街として知られているが、設備の割に価格が抑えられた物件が多い。また、ロシアンマーケットの辺りも人気が上昇しており、比較的家賃が安価であることから欧米人を中心に外国人からの注目が集まっているエリアだ。

 カンボジアの住居形態は、サービスアパート、コンドミニアム、ヴィラ、フラットなどがある。特別なサービスが付かないアパートの場合の相場について、ライフ・デザイン・パートナーズの青山氏は、「プノンペンは非常に小さい町なので、移動手段さえ確保できて渋滞にさえ気を付ければ、よほど職場から遠くない限り、場所はそれほど問題ではありません。問題になるとすれば治安ですが、外国人でセキュリティを重視するのであれば月額350ドル~400ドルは最低必要で、これが人気のBKK1地区ですと最低でも500ドルからです」と語る。

 一方、「高級物件ですとプール、ジム付きなど豪華な設備が付き、日本で同じ金額では絶対に借りられない条件の物件が安く借りられるのはカンボジアの魅力の一つですね」と同氏が語るとおり、サービスアパートは24時間警備のほか、プールやジム、部屋の掃除や洗濯など、ハード面だけでなく、ソフト面も充実している分、当然のことながら家賃は上がる。しかし、日本と違う環境のなか、少しでも快適に過ごす住居形態として駐在員を中心にサービスアパートのニーズは高い。また、TAMAホームの上田武範氏は、「まだまだサービスアパートメントやホテル等の需要もあります」と話す。



 ホテルをサービスアパートとして提供しているヒマワリホテルのアンドリュー・テイ氏は、「今は、サービスアパートに限らず、コンドミニアムや、ホテル長期滞在などたくさん選択肢があります。だからこそ、私たちのサービスの真価が問われる時代になったと思います。その中で大切なのは、セキュリティ、安全、効率的なサービス、親切さ、そして何より1人1人に合ったサービスを提供できることです。どのお客 様に対しても同様のサービスを行うのではなく、例えて言うなら、いわば家族のようなサービスを心がけています」と語った。


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