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2017年1月4日
カンボジア進出ガイド

【金融・保険】

146 カンボジアの金融・保険②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

金融 Finance

銀行業界の課題 The issues facing Banking sector in Cambodia

 バーゼルガバナンス機関(Basel Institute on Governance)によると、マネーロンダリングとテロ資金供与における脆弱性についての最新の世界ランキングで、カンボジアがASEANワ―スト1位、世界ワースト6位となった。昔からルーズなガバナンス・システムによって金融機関が急増しており、マネーロンダリングの機会を増加させているという。そんな中、カンボジア中央銀行が金融機関の最低資本要件の引き上げを行い、2年以内に必要要件を満たすよう発表した。この動きについてアクレダ銀行のソー氏は、「お客様の預金を守ることができ、お客様からの信用度も高まるかと思います。また、合併や統合も起こり始めるでしょう。強い銀行が生まれることで、成長もより急速でスムーズになります。この2年間にわたり銀行は大きく変わっていくでしょう」と話しており、今後統合や合併の動きが加速し、信頼性の高さが求められる。



 また各行の競争についてカンボジア・パブリック銀行のパン氏は、「国内の商業銀行は更なる変化に向け競争力を高めています。今後も革新的な商品やサービスの投入が続くでしょう。商業銀行各社の近年の融資利息も年々下がっていますし、競争率の高まりから各行はより魅力的な融資商品の提供と、より多様な経済セクターへの売り込みが必要となってくると思います」と語った。

今後の銀行業界 The future of the banking sector

 今後の見通しについて、アクレダ銀行のソー氏は、「今後も上昇します。アクレダ銀行はもちろん銀行自体でも毎月のように上昇していますから。法規制が弱い間はまだ強い上昇は続くでしょうね。全ての銀行で融資額と預金は上がり続けると思います」と語り、その他銀行もポジティブな見方をしている。

 またカンボジア中央銀行による、銀行預金者の保護制度を構築する動きもある。金融システムが整っていないミャンマーを除いて、カンボジアはASEANで唯一、預金保護が無い国だったが、預金者保護制度は、銀行が倒産した際に預金者に預金の一部を払い戻す制度で、預金者に対しては資産の一部が保護されるとともに、国家財政の安定性の観点からも深刻な経済的な影響を防止しすることができる。ANZロイヤル銀行のレスブリッジ氏は、「世界中で金融業界は今までにない複雑な状況に直面しているため、10年後には金融システムにも変化が起こるかもしれません。カンボジアでも今後、競争は激しくなっていくことが予想されます。電子取引やネットバンキングをはじめとするサービスでお客様に満足頂ける、信頼性の高い安定的な銀行が今後、勝ち残っていくと考えています」と語っている。

マイクロファイナンス Microfinance

 カンボジアのマイクロファイナンスは2015年、貸付金額と預金額において前年度比45%を超え、爆発的な成長をしている。カンボジア中央銀行(NBC)の統計によれば、2015年末時点においてライセンスを所有しているマイクロファイナンス機関(MFI)は53社で、融資業務を行っているNGOを含めると債権者数200万人、貸付残高は30億ドルに達しており、預金が可能なMFIは8社で、預金者総数約160万人、預金総額億17ドルに達しており全てにおいて拡大している。



 人気増大の要因について、業界第3位のシェアを誇るアムレット・マイクロファイナンスのチア・パラリン氏は、「商業銀行だと融資額10万ドル以上という制限がありますが、マイクロファイナンスでは年間100ドルでも借りられます。旅行に行きたい、買い物をしたいなど、国民のリッチになりたい願望が増えているのを感じますね」と語る。資金使途としては、住宅ローンから車両、携帯電話の購入、開業資金まで幅広く、融資金額の幅も広いことが特徴だ。



 商業銀行と比べて高い金利について、アムレットマイクロファイナンスのチア氏は、「現在、政府が市場競争を推進しており、金利に関してはここ1、2年で下がるでしょう。3年前は36%だったのが、30%、25%と徐々に下がり、今は年利23%程度です」と話しており、国の成長に伴うビジネス需要増加も相まって、今後もマイクロファイナンスの人気は拡大するだろう。


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