【マーケティング・メディア】
(129 カンボジアのマーケティング・メディア③から続き)
カンボジア人を対象にしたクメール語のものや、英語、中国語、韓国語など各国外国人向けに発行しているものとがあり、それぞれのマーケットに告知するのに効果的である。
日本語では本誌をはじめ、生活情報誌のプノン、ニョニュム、クロマーマガジン、ディスカバーニューアジア、プノンペンプレスネオの6誌がある。在住日本人は2,500人ほどとマーケットとしては成長段階にあるので、日本人に特化したサービスでない限り他のマーケティング手法との併用が望ましい。
国内に600を超える印刷会社があるものの、印刷技術は発展途上にあり、印刷の主流はダイレクト刷版ではなく、フィルムを使用している。また、紙やインク、電気まで隣国から輸入していることから、タイやベトナムと同等か若干高く、クオリティは劣っている。
まず印刷業界であるが、マーケットの大多数を占めるのが出版物の印刷である。ある程度の規模の印刷会社は、いかに多くの出版物を取り扱うかでしのぎを削っている。また、使用する機械は、ドイツなどヨーロッパ製、中国製、日本製が多く、特に日本の中古機械は、壊れにくく、メンテナンスも楽で人気が高い。
仕上がり時に、色ムラやズレなどの混入や、それを理由に刷り直しを要求しても通らないことが多い。また、天候や機械の故障、その他の理由で大幅に納期が遅れることもあるが、ペナルティを課すことは望めない。それを防ぐために、ある程度余裕を持ったスケジュールで依頼することも大事である。
以下は、自社で印刷機能を持っているスタンディングオンザブリッジの清野氏に訊いた賢い印刷会社との付き合い方。
◇見積りと一緒に過去の実績をみる。
◇見積り依頼時に、できる限り具体的に要望を伝える。サンプルがあれば必ず渡すこと。
◇高くてもクオリティの高い会社と安かろう悪かろうの会社を使いわける。
◇あまり重要でない印刷物の時に、新しい印刷会社を試してみる。
◇クオリティ重視の場合必要部数に1割増しでオーダーする(部数が増えても極端に金額は上がらないため)。
◇1社とは長く付き合う。それによって価格、納期、支払、など融通を利かせてくれることが多くなる。
◇広告代理店を使うのも手。要望に応じたクオリティ管理をしてくれ、面倒な印刷会社とのやりとりも必要ない。
総体的に、どのメディアを使うか、どのようなイベントを行うか以前に、本当に自社のサービスや商品がターゲットにヒットするものであるかというところが一番大事である。ローカルがターゲットの場合、カンボジアに無いものだから、日本で流行っているからという理由だけで始めてしまうと、宣伝費だけが嵩んで苦しい経営になるだろう。カンボジア人の行動様式も多様化しており、よく研究しながらローカライズしていくことが大事だ。
また、最後に、メディア事業そのもので進出を考えている日系企業に向けて、トメイトメイ・ドットコムのキー氏は、「ゼロからメディアを作っていくのは、コスト面やスタッフ面などで相当大変な道だと思います。現地企業とパートナーシップを組んでいくことが近道だと思います」とアドバイスした。
(131 カンボジアの運輸・物流①へ続く)