【金融・保険】
(113 カンボジアの金融&保険②から続き)
日本では当たり前となっているインターネットバンキングサービス。労働人口(15歳~65歳)の94%が携帯電話を所有しているカンボジアでも、ここ数年携帯電話を使ったサービス展開が目覚ましい。
アクレダ銀行のソー氏は、「好評なのは、モバイルバンキングですね。祝日等で支店が閉まっていても、携帯電話から請求書の支払いや口座間の資金移動ができます。携帯で金融サービスがオンタイムで受けられ、より便利になりました」と話しており、携帯電話を使って公共料金や各種税金を含めた支払いや携帯電話チャージなどのサービスを提供している。
銀行サービスのデジタル化について、カンボジア・パブリック銀行のパン氏は、「2015年6月末現在、インターネットバンキングの利用者が対前年同期比で23%増加しています。普通預金、貯蓄預金、定期預金の管理において2014年4月に本人認証サービス・ワンタイムパスワーを導入しました。携帯電話情報を登録し、インターネットバンキング利用時に携帯電話に送信されるワンタイムパスワードを利用し取引を進めることでセキュリティが向上します」と語った。
今後の見通しについて、アクレダ銀行のソー氏は、「今後も上昇します。アクレダ銀行はもちろん銀行自体でも毎年、いえ毎月のように上昇していますから。法規制が弱い間はまだ強い上昇は続くでしょうね。全ての銀行で融資額と預金は上がり続けると思います」と語り、その他銀行もポジティブな見方をしている。
しかしカンボジア政府は、この先2年は約7%の経済成長が続くと予想する一方で、銀行業や不動産業の投資額が下がるリスクが発生すると考えている。経済財政省が発表した指標によると、昨年金融機関からの貸付額はGDPに占める預金額の割合とほぼ同じ水準だった。しかし、昨年の預金額成長率が19%であったのに対し貸付額成長率が約30%であったことから、政府関係者は貸付額がすぐに預金額を上回るのではないかと危惧している。
(115 カンボジアの金融&保険④へ続く)