カンボジアに進出する日系企業のための
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2016年6月13日
カンボジア進出ガイド

【金融・保険】

113 カンボジアの金融&保険②(2016年5月発刊 ISSUE04より)

カンボジアの銀行 Banks in Cambodia

112 カンボジアの金融&保険②から続き

 カンボジア中央銀行のチェア・チャント総裁のリーダーシップにより、近年のカンボジア銀行業界は急速に発展している。カンボジア中央銀行の統計によれば、2014年末時点において商業銀行のライセンスを所有している銀行は35社で、特別銀行のライセンスを所有しているのは9社。総資産額は、前年度比29.6%増の162億ドルで、また、2014年の預金総額は97億ドルで、前年度比31.5%増だった。

 商業銀行35行のうち総資産額上位4行(アクレダ銀行、カナディア銀行、カンボジア・パブリック銀行、ANZロイヤル銀行)で市場シェアの4割を占めており、ANZロイヤル銀行のレスブリッジ氏は、「カンボジア経済はとても急速に成長しており、多くの金融機関が設立され、信用度が急激に上昇しています。金融サービスやシステムもより高度になり、顧客満足につながっています。今後は、中央銀行が増加する金融機関をどう規制して適切に進めて行くか、また保険によるサポートの充実など、必要になる役割が増えると思います」と語っている。



 一方銀行を選ぶポイントについて、マレーシアに親会社を持ち、カンボジアの外資銀行で最大の資本規模であるカンボジア・パブリック銀行のパン・イン・トン氏は、「所得比率の上昇、高学歴者の増加で顧客の見識も高まっており、要求も細かくなっているため、銀行の選択にも厳しくなっているように思います。銀行を選ぶ時はその銀行の資本力と実績や顧客サービスの評価、さらに革新的な金融商品の有無が基準にされています」と語っている。また、本来は融資業務を主とするマイクロファイナンス機関が預金業務にも力を入れてきたことから、競争が激化することが伺える。

サービス競争 Service competition

 銀行数の増加に伴いサービス競争は利用者に良い影響をもたらしている。

 カンボジア・パブリック銀行のパン氏は、「当行では上質な顧客サービスの提供に重点を置いています。特に支店窓口での迅速なサービス提供は折り紙付きで、原則5分以内の待ち時間にてご案内するよう心がけており、2014年実績は85%のお客様を5分以内にご案内することができました」と語った。

 これに加えて人材面では、アクレダ銀行が同行がもつトレーニングセンターを本格的な教育機関アクレダビジネス大学に変えていくと発表している。金融や銀行を専攻とした経営管理の学士、博士号を付与する方針だ。アクレダ銀行は2012年にアクレダトレーニングセンター(ATC)を設立し、金融業界全体の人材の育成に尽力しており、2015年にはATCにある186コースで約5千人がトレーニングを受けている。

 また、利用者から選ばれる理由としてANZロイヤル銀行のレスブリッジ氏は、「顧客第一のサービスを提供しているからだと考えています。我々は『お金を売る』のではなくサービスを提供する『パートナー』でなくてはいけません。顧客第一でさまざまなソリューションを提供し、強い関係性を築いていることに加えて、ANZグループの国際的な信用力が顧客に安心感を与えることができているのだと考えます」と語る。

 カンボジアに進出する企業が銀行を選ぶポイントは、その企業の事業内容や経営方針により異なるが、国際標準の金融基準を適用しているか、現地でのビジネスに精通しているか、十分な資金を持っているかなどを踏まえ、安心して気持よく利用できる金融機関を選ぶべきだろう。

ジャパンデスク(日本人向け顧客窓口) Japan Desk



 英語が不得手であったり、日本語対応を望む場合には、ジャパンデスクを設置している銀行を選択すると良い。ただし、カンボジアにおける直接投資額が下位であり、在留法人数も少ないなかで、日本語対応が可能な銀行の存在は貴重である。なお、総資産額上位4行は日本語によるリレーションシップが可能な体制を整えている。

 りそな銀行とパートナシップを結ぶカンボジア・パブリック銀行のパン氏は、「日系投資家やお客様のサービス向上のために2013年弊社本店窓口に日本人ヘルプデスクを設置致しました」と話し、日本語を習得したカンボジア人を置いている。

 また、ANZロイヤル銀行の山口氏は、「日系のお客様の場合、設立段階であったり、複数の国を担当されていたり、カンボジア以外の国や本社に本格的な財務を置いていたりと、あらゆる状況でカンボジアへ進出されていますので、お客様の状況に応じ、本社や地域統括、出張先から送金指示ができるという利便性があります。また、オンラインを使うと取引履歴を詳細に辿ることができ、監査にも非常に有効です。当行では、入金の確認なども、オンタイムで確認でき、入金があったときに自動的にメールを送ることもできます」と語る。
114 カンボジアの金融&保険③へ続く


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