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2015年11月8日
カンボジア進出ガイド

【建築・内装】

081 カンボジアの建築・内装③(2015年10月発刊 ISSUE03より)

内装 Interior

気候風土を理解した取り組み Understanding the impact of climatic differences

080 カンボジアの建築・内装②から続き
 ボンケンコンエリアを中心に、外国人やカンボジア人富裕層をターゲットにした飲食店がプノンペン市内に点在する。現在は店舗の内装スタイルが多様化し始め、経済発展と共にカンボジア人の感覚も表面的には変化がみられる。建築デザイン・プロデュースをするココチカムデザインの河内利成氏は、「お金をかければ良いものができるのは当たり前ですが、回収年数を考えると何でもかんでもお金をかけるわけにはいきません。全てにお金をかけ過ぎる傾向があるために、かえって敷居を高くさせてカンボジア人が入りづらいという悪循環を起こしている場合があります」と、ターゲットに合わせたメリハリの必要性を語った。



 また、設計や工法においても現地を理解した考え方が重要になる。「重工業が発展していないカンボジアでは、そもそもスチールが無いので外国から仕入れないと使えません。それだけでかなり高くつきます。建材はほとんどありません。そういった認識や、建材の選択のさじ加減が大事です。中国と同じように安く建てられるだろうという甘い考えを持った方が多い。大部分の発注者はこのような理由から、実際の費用よりも安く予算を見積りますし、また、その額で請け負ってしまう工事会社もあります。しかし、そのような工事業者は途中から資金の不足分を次々と請求しますので、対応の判断を場当たり的に求められ、結果的に高くなることもあります。余裕のある予算のなかで計画的に工事する場合と比較したら、ボロボロの状態で工事が進捗していくわけです」と、ココチカムデザインの河内氏は続けた。いずれにしても進出には十分な準備や調査が重要だ。

工期 Project deadlines

 企業が遭遇するもう一つの問題としては、カンボジア人の工期に対する姿勢における文化的衝突がある。1年に27日もの祝祭日があり突発的な理由で更に増えることもあるほか、連休には帰郷したがる者が多いカンボジア人にとって、残業や休日出勤にネガティブなイメージを持っている事実は否めない。

 イエローツリーインテリアのバーニー氏も、「工期に関しては、ほとんどの場合遅れるとみておいた方がいいでしょう。日本人ほど時間に対する考え方は重要ではないのです。文化的な問題ですから、発注する側がある程度寛容に構えるくらいがいい」と、アドバイスしている。そのような現状に対して、Gホールディングスのビアンカ氏は、「工期は私たちにとってもお客様にとっても厳守しなければならないもので、この国の文化には私たちも頭を悩ませています。品質を保ったうえで完成させることは挑戦でもあり、私たちのような経験のあるマネジメントチームが必要とされる理由でもあります」と語る。

 現場管理の重要性について、店舗やオフィスの内装の実績が豊富なS.I.C.S.デベロップメントの洪哲秀氏は、「工期を遵守するにはマネジメント能力も試されます。現地の労働者に対して、現場責任者がどのように接して仕事を効率よく進めていくかで状況は改善されていきます。この国の発展に貢献するためにも、より高い意識を持って日々努力することが大切です」と述べている。



 また、現場での教訓として、「これは内装に限った話ではありませんが、スタッフ一同がカスタマーファーストの意識を共有できるよう、私たち外国人が率先して実行することが大切です。与えられた予算と時間内で顧客満足度の高い内装を仕上げることは、仕事に関わる多くの人たちに自信と喜びを与えます」と、現地での取り組み方について語った。
082 カンボジアの通信&ITへ続く


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