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2015年11月8日
カンボジア進出ガイド

【金融・保険】

075 カンボジアの金融&保険③(2015年10月発刊 ISSUE03より)

今後の銀行業界 The future of the banking sector

074 カンボジアの金融&保険②から続き
 カンボジア・パブリック銀行のパン氏は、「技術の発達により、銀行業界はシステム処理面においてさらに激変すると思います。決済処理やATMなどもより便利になるでしょう。インターネット・モバイルバンキングも今後数年でさらに拡大するものと思われます。カンボジアは現金主義の歴史が根強く、主要貨幣もドルです。しかし今後、より多くのカンボジア人が銀行に口座を持ち、小切手や送金機能を使うようになることも全体の底上げになると考えています」と述べ、カンボジア人の銀行の利用が増加することを予測した。また、同氏は、「2015年末のASEAN経済統合を控え、国内35の商業銀行は更なる変化に向け競争力を高めています。今後も革新的な商品やサービスの投入が続くでしょうし、それにより顧客は長期的に見ても利益を得るでしょう。例えば商業銀行各行の近年の融資金利も年々下がっていますし、競争率の高まりから各行はより魅力的な融資サービスの提供と、より多様な経済セクターへの売り込みが必要となってくるかと思います」と、今後もますます競争が激しくなると語った。

 アクレダ銀行のイン氏は、「今後はすべてのシステムにおいて自動化を進めていきます。どうしても窓口の待ち時間が課題になるので、電子指紋認証の導入などで本人確認を省略し、サービス提供の時間を短縮できればと考えています。電子指紋認証は既に一部で試験導入しており、今後は本格導入を目指しています。時間短縮もですがペーパーレス化もできます。当行は口座数が多いので顧客の数も多く待ち時間も長いですが、その分利便性への投資ができます」と述べている。

マイクロファイナンス Microfinance

 カンボジアのマイクロファイナンス部門は、急速なペースで成長し続けている。カンボジアマイクロファイナンス協会(CMA)の統計によれば、2015年6月末時点においてライセンスを所有しているマイクロファイナンス機関は39社で、国内1,239店舗。債権者数184万人。貸付残高は24.4億ドルに達しており、前年同期16.3億ドルと比較し49.7%増加。また、預金が可能なマイクロファイナンス機関は7社で、預金者総数約127万人、預金総額11.2億ドルに達している。2014年の貸付残高は20.3億ドルと対前年比50%増、預金総額は9億ドルと対前年比100%増だった。中堅・中小企業や個人にとっては、今後もビジネスを成長させるための資金需要は続くと考えられ、2015年は2014年と同等の伸び率になると予想される。

 大手マイクロファイナンスのひとつ、サタパナ・マイクロファイナンスのブン・モニー氏は「カンボジアにマイクロファイナンスが入ってから、約20年が経ちましたが、その間に多くのマイクロビジネス、個人事業主を助けてきました。39社の認可機関には、大きいマイクロファイナンス機関が10社あり、全体の90%のシェアを持っており、さらにこの10社の中の4社で70%のシェアを持っています。中堅・中小企業には更なるビジネス成長を期待しており、彼らにとって良きパートナーとなるため私たちも努力しなければなりません。マイクロファイナンスの目的は貧しい国民を助けること、彼らの生活を変えていくことです。カンボジアは年間1,000ドル程度のGDPしかなく、最貧国の中の一つですが、そこから抜け出せることを願っています」。



 一方、ソナトラ・マイクロファイナンスの永田哲司氏は「マイクロファイナンス機関は言葉の通り、商業銀行が相手をする大手ではなく、中小企業家や個人に対する融資をするものです。ただし、ここはローンのレンジが多岐に渡っていて、プラサック、アムレット、サタパナなどは農村地にも貸していて、平均すると500~2,000ドル位です。これこそマイクロファイナンスだと思いますが、我々は2万5,000~3万ドル位のレンジです。決してマイクロとは言われず、中小企業金融になります」。また業界の問題点として、無免許での融資活動を行っている融資機関(闇金融)の問題があり、ソナトラの永田氏は「中央銀行認可機関ですと、毎月レポートを提出するのですが、法による金利上限は無いものの、中央銀行からの指導が入ります。しかし、一部の闇金融機関など、暴利をむさぼる為、高い金利をお客様に要求し、社会問題化させてしまっております。その影響により、業界全体が一色単にされ、マイクロファイナンス機関全体が暴利を貪る悪徳機関としてお客様に認識されてしまうリスクが生じてしまっています」と付け加えている。


NGO団体による小規模金融機関 The small-scale financial institutions by NGO

 これまでカンボジア中央銀行が認可する金融機関は、銀行とマイクロファイナンス機関のみだったが、地方の実態調査をすると多数の団体が事実上金融機関としての役割を担っており、特に資金貸し出しを行っている事業所の数は増加していることから、中央銀行はこれを認可制とした。さまざまな理由で銀行やマイクロファイナンス機関から小口融資を受けられない者たちを支援する健全な団体がある一方、悪質な団体が無知な農民に高金利で融資しており、玉石混交の領域にメスを入れた形だ。

 カンボジアデイリー紙によると、NBCの許認可担当官であるキーウ・ボパポウン氏は、2015年1月の登録受付から既に400件の申請があり、そのうち44件のNGO団体は既に小規模金融機関としての認可を受けたと述べている。しかし、申請件数が多すぎたため、中央銀行は人員不足により包括的な調査ができないとし、申請の受理を一時停止した。

 これまでに申請のあった180社ほどを中央銀行の担当部署が立ち入り調査をしており、うち120社ほどは「金融機関運営上の規定が定められておらず、登録上は慈善団体となっている場合があった。」など、金融機関として必要な基準が満たされていなかったとしている。審査を通り認可を得た団体は、今後双方が利益を得られるような利息の指導などが中央銀行指導の元で行われる予定だ。
076 カンボジアの金融・保険③へ続く


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