【IT・通信】
総世帯数284万世帯(2008年国勢調査)を基準とした世帯普及率では、固定電話が約21% (加入者数約60万)、ブロードバンドか約2.5%(加入者数約7万)と低調なのに対し、携帯電話契約数(SIMカード発行枚数)は2007年の約250万から4年間、年率60~70%の増加か続き、2012年には総人口約1,400万をSIMカード発行枚数が上回り、人口普及率で100%を超えた。2012年末時点でのSIMカード発行枚数は1,970万枚。人口の約1.4倍だ。
小さいなから急拡大する携帯通信市場は競争も苛烈だ。2013年初頭には8社存在した通信キャリアだが、同年1月~3月までの間にタイとカンボジア政府との合弁キャリアであるエムフォンの経営破綻(モビテルが吸収)と、ハローアクシアタ及びラテルスの経営統合(スマートアクシアタ)により2社減少、その後1社が新規参入して2013年末には合計7社となり、2015年3月には業界4位のビーラインが1位のメットフォンに買収される事がリリースされた。 2015年4月現在の3強と言えば、ベトナム系キャリアであるヴィッテル(Vittel)を母体とするメットフォン(加入者数約740万、シェア約45%)、マレーシア系キャリアであるアクシアタを母体とするスマート(契約者数約470万、シェア約30%)、カンボジア有力財閥ロイヤルグループとルクセンブルク系MCIの共同出資によるセルカード(契約者数約310万、シェア約20%)があげられる。
とはいえ小さな市場で延々と繰り返されるキャンペーンや値下げ競争により、通信料はかなり安い水準になっている。2009年4月に8番目の通信キャリアとしてスタートし、その後積極的なM&Aにより業界2位にまで駆け上かったスマートアクシアタのトーマス・ハント氏は「カンボジアから日本への国際電話であれば、1分7セント(約8円)でかけられます」と語っている。 同社は2014年1月からカンボジア初となるLTEサービスを提供しているが、2015年には同様にLTEサービス開始を宣言しているキャリアもあり、通信キャリアの熾烈なサービス競争は今後も続きそうだ。
(041 カンボジアの通信&IT②へ続く)