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アジア開発銀行(ADB)は3月29日、カンボジアの経済は縫製・製靴業、建設業、サービス業により今年は7%、来年は7.1%と堅調に成長する見通しだと発表した。ADBのダイレクター、サミュエラ・タクアフ氏は、成長維持のため、経済の多様化や新産業の誘致を進め、雇用機会を創出する必要があると語る。
製造業の成長は、国内最大の産業である衣類や履物などの高付加価値製品や電子機器等さらなる多様化によって、今年9.5%の上昇が予想され、安価な単純労働者の大量供給は輸出用の衣服や靴の生産にかなりの外国投資を集めている。
サービス部門の成長予測は7.8%、農業部門はメコン地域の干ばつに見舞われ1.6%である。農業の主要産業であるコメは、インフラの改善、高い輸送コストと電気コスト、安価な近隣諸国との競争により、救済として政府に2億5000万USDを要求しており、キアット・チョン副首相とも会談している。
建設業は、2015年の19.2%に比べ今年は11.7%と緩やかに上昇するが、昨年に引き続きGDPの成長を牽引する。
国内需要は低インフレと高い信用の伸びに支えられ堅調に推移し、インフレ率は、国際原油価格の下落と食品価格の安定によって、2015年に1.2%(2009年以降最低値)であったが、今年は2.5%、来年には3%上昇すると予測された。
ADBは、昨年、融資や建設部門が節目を迎えたにも拘らず、GDP成長率の堅調な推移を見通したが、ほとんどが急速な信用の伸びと不動産ブームによる金融に起因しており、脆弱性にリスクがあるのも事実だとクメールタイムス紙は報道している。
また、同紙によると、ドル高と輸出市場の伸び悩みによる外部リスクで、ドル化経済のカンボジアの競争力が侵食されているとし、銀行やマイクロファイナンス機関の外部資金依存は、世界的金融市場の脆弱性の増大によって資金調達コストおよび流動性圧力を悪化させる可能性があるとしている。