カンボジア政府はこの先2年は約7パーセントの経済成長が続くと予想する一方で、銀行業や不動産業の投資額が下がるリスクが発生していると政府関係者は話す。
カンボジア経済財政次官のボンセイ・ビソット氏は2月18日、カンボジアマクロ経済管理フォーラムに参加し、不動産の潜在的な供給過剰によって起こる金融機関の預金残高の急激な拡大は典型的な憂慮すべき兆候であると述べた。
「我々は銀行などの金融機関のリスクに憂慮しています。なぜなら貸付額が非常に大きいからです。そして特に建設・不動産業は供給過剰な兆しが見えます」とビソット氏は話し、さらに「カンボジア中央銀行と政府は貸付額の成長を緩める方法を模索しており、建設業や不動産業など脆弱な業界に対し貸出規制を課すかもしれません」と加えた。
経済財政省が公表した指標によると、昨年金融機関からの貸付額はGDPに占める預金額の割合とほぼ同じ水準だった。しかし、昨年の預金額成長率が19パーセントであったのに対し貸付額成長率が約30パーセントであったことから、政府関係者は貸付額がすぐに預金額を上回るのではないかと危惧している。
経済財政省のマクロ経済部部長チアン・バナリット氏は、もしローンの回収が出来なければ高い預貸率が銀行を資金難に陥らせる可能性があり、不動産業への貸付が特に心配の種だと述べた。
バナリット氏はフォーラムの中で、「カンボジアの不動産業は急速に拡大しています。私はすぐに供給過剰になって空き家があふれるのではないと危惧しています。この状況は不動産業への貸付の上でリスクであり、私たちはくまなく調査・監視しています。」と語っている。
経済財政省によると、昨年銀行の貸付額の8分の1がカンボジア国内の建設・不動産業者に渡った。
先月発表された最新の世界経済フォーラム・グローバルリスク報告書では、カンボジアはバブル崩壊が最も心配される7つの経済の中の一つに入った。これは不動産市場の供給過剰の可能性を考慮しての結果である。
不動産仲介サイトRealestate.com.khのトム・オースリバン氏は、もし不動産への需要が突然供給を下回ったら、これは理論上は不動産価格を下げて投資やローンを圧迫するものであるが、銀行業はほとんど影響を受けないだろうと話し、「約70パーセントの建設開発が外国人からの資金によって賄われています。また、かなりの数の自己資金で不動産を買う人、つまりキャッシュ・バイヤーがいるのです」と同氏は語る。
不動産投資会社JSMインドシナのCOOで銀行業務専門家のクリストフ・フォルシネッティ氏は、カンボジアの銀行業と不動産業の間に影響が伝わるなか、人々は情報不足のために損失拡大に対し半信半疑になっていると指摘する。
「不動産損失可能性のある銀行がいくつかあるのは確かです。さらなる情報、特に銀行が持つ不動産のポートフォリオへの調査が必要でしょう」と同氏は話す。
しかし不動産業・建設業への貸付成長への監視は正しい方向に進んでいるともフォルシネッティ氏は言う。
「この先2年、私たちは不動産の供給過剰を想定しなければならないでしょう。カンボジア国内のバイヤーがローンを携えて市場へ入ってくるにつれてリスクも高まりますが、それに政府が気が付いているのはいいことです」と同氏は話す。
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