カンボジア商工会議所(CCC)は政府・民間合同フォーラム(G-PSF)と共催で、タイ国境をめぐる緊張の経済的影響について討議を行った。討議は6月27日、プノンペンで開催され、CCC会頭でG-PSF調整委員会委員長も務めるキット・メン氏を議長に、16の民間部門ワーキンググループの共同議長、副会頭、国内外の業界団体代表が参加した。
CCCは声明で、国境情勢は流動的であるものの、貿易、観光、労働、金融、農業など幅広い分野で既に経済的影響が現れていると指摘した。特に「カンボジア・タイ国境の危機が物流の混乱、観光の停滞、労働移動の制約を招きつつある」と警鐘を鳴らした。
金融面では、タイから帰国する労働者が増加すれば農村部のマイクロファイナンス返済に支障をきたし、金融機関の信用リスクが高まる可能性が指摘された。事業面でも、国境近隣への事業移転やサプライヤーの切り替えに伴うコスト上昇が報告された。一方、シェムリアップやプノンペンを中心に観光業が減速し、国際的な旅行関心は前年同月比で20%減少したとのデータも共有された。
こうした逆風の中でも、CCCは一部の分野の成長機会に言及した。カンボジア国内の食品製造業はマレーシアやベトナム向け輸出を拡大し、需要増に対応しているほか、カナダとの貿易強化への期待感が示された。
一方で、農業分野では肥料供給の不安定化と価格高騰が懸念され、早急な対策を講じなければ食料安全保障への影響が避けられないとの指摘があった。
CCCは今後もG-PSFを通じて政府・国際パートナーとの協調を深め、民間部門支援と投資家信頼の維持、経済レジリエンス強化に向けて一体的な戦略を推進する決意を表明した。