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  • 2025年3月12日
  • カンボジアニュース

ASEANで最も高い労働参加率、カンボジアが首位に[統計]

カンボジアはASEAN諸国の中で最も高い労働参加率(LFPR)を記録していることが、ASEAN事務局の最新報告で明らかになった。LFPRは、就業または求職活動を行う労働年齢人口の割合を示し、国の労働供給の規模を測定する指標である。

報告によると、カンボジアのLFPRは2014年に82.6%であり、2022年には83.7%に達した。一方、2014年時点で高い参加率を誇っていたタイ(70.3%)とベトナム(77.5%)は、2023年にはそれぞれ68.6%、68.9%に低下した。ブルネイ(Brunei Darussalam)とミャンマー(Myanmar)も同様に減少し、2014年から2023年にかけてそれぞれ65.6%から63.6%、67%から60.7%へと推移した。

一方、インドネシアとマレーシアは上昇傾向にあり、インドネシアは2014年の66.6%から2023年には69.5%、マレーシアは67.6%から70%へと増加した。シンガポールも2014年の67%から2023年に68.6%へと上昇。ラオス(Lao)は依然として最低水準ながらも、2022年には47.1%に達した。

2023年のLFPRには男女間の大きな格差が見られた。特にミャンマーでは、男性の77.1%に対し、女性は47%にとどまった。インドネシアでも男性84.3%に対し女性54.5%と顕著な差があった。一方、カンボジアでは男女の差は9.8ポイントと比較的小さく、男性88.7%、女性78.9%を記録。ベトナムでも男性75.2%、女性62.9%と、比較的男女差が少ない傾向が見られた。

アジア開発銀行(Asian Development Bank, ADB)は、カンボジアが2030年までに上位中所得国の地位を達成するためには、人的資本の不足への対応が不可欠であると指摘。過去10年で労働力の発展は進んだものの、カンボジアの労働生産性は他の東南アジアの製造業拠点と比べて依然として低い水準にあると結論付けた。

カンボジアの労働生産性の低さは、過去から一貫して指摘されており、特に教育・技能水準の低さやインフラの未整備、低賃金労働への依存が主要な要因とされる。労働参加率の高さ自体は強みだが、今後の経済成長には労働力の「量」から「質」への転換が求められる。

また、男女間の労働参加率の差がASEAN諸国の中で最も小さい点は、女性の労働市場への進出が進んでいることを示すが、これは単に「伸びしろが少ない」とも言える。今後の成長の鍵は、単なる労働参加の増加ではなく、女性がより高スキル・高付加価値の職種に進出できる環境を整備することにある。労働市場全体の生産性向上を図るためには、技能教育の強化、職業訓練の充実、雇用環境の改善が不可欠となる。

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