カンボジア政府は、タイから提案された「6カ国1目的地」観光ビザ計画に関する協議を検討している。
このビザは、カンボジア、ブルネイ、ラオス、マレーシア、ベトナム、タイの6カ国間で観光と経済協力を促進することを目的としている。また、地域全体の観光インフラを結びつけ、東南アジアを一体の観光地として位置づけることを通じて、観光業の競争力を高めることが狙いだ。
タイ外務省のデュシット・メナプント(Dusit Menapunt)顧問がカンボジア観光省のフート・ハック大臣とこの提案について議論し、カンボジア側もこの計画を内閣に持ち込み、さらに検討することを表明した。
この取り組みは、タイやマレーシアなど観光資源が豊富な国に観光客が集中する一方で、観光資源が限られている国は、観光客が通過するだけの国になってしまう可能性があるため、観光インフラの整備やプロモーション活動の強化により、タイのような観光ハブ国と連携して、観光ルートや文化的な魅力を効果的にアピールすることが重要になる。
観光客数の比較によると、2023年にタイは約2800万人以上の観光客を迎え、ASEAN諸国の中で最も多く、次いでマレーシアが約2000万人、ベトナムとシンガポールがそれぞれ約1200万人、カンボジアが約540万人、ラオスが約340万人、ブルネイが約12万人と続く。
こうしたことから、カンボジアの旅行客の一部がタイなどへ流出するリスクを最小化し、逆にタイなどから、それ以上の旅行客が流入することで、ビザ手数料の収入減を相殺してもあまりある経済効果や歳入増加が期待できる。
一方で、ビザ制度が緩和されることで、テロリストや犯罪組織がこのビザを利用して国境を越えて活動する可能性があり、国境を越えた犯罪活動や人身売買のリスクが懸念される。