カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

2018年12月12日
カンボジア進出ガイド

【不動産】

262 カンボジアの不動産②(2018年11月発刊 ISSUE09より)

住宅の賃貸  Rental Housing

 CBREカンボジアの報告書によると、プノンペンのコンドミニアムの供給は2018年第3四半期に緩やかに増加し、市場に2374の新ユニットを追加された。コンドミニアム市場における総供給は、第1四半期比で1.8%増加し、利用可能なユニットの総数は1万2048になった。

 プノンペンのトゥール・コーク区では、賃貸マンションの供給が3倍に増え、2030年代初めにはユニット数が5000台に達すると予測されている。現地不動産会社の責任者によると、このエリアに2019年は少なくとも200のアパートメントが市場に投入されるため、これに乗じて家賃の下落が予想される。

 住居として外国人に人気の高いエリアは、ボンケンコン1地区(BKK1)。プノンペンの富裕層エリアといわれており、カフェ激戦区となっている。しかし、家賃が高いため、周囲に少しずつ分散が進み、その結果、ボントラバエク地区(BTK)、トゥールトンポン地区(TTP)、ボンケンコン2、3地区(BKK2、3)、トンレバサック(TB)、プノンペンタワー裏の人気も高い。

 BTKやTB南部は新興住宅地で比較的新しい物件が多く、立地的にPPSEZに勤務している方が多く住むトゥールコーク区ボンコック1、2地区(BK1、2)も高級住宅街として知られているが、設備の割に価格が抑えられた物件が多い。また、TTPにあるロシアンマーケットの周辺も比較的家賃が安価であることから欧米人を中心に外国人から注目が集まるエリアだ。

 カンボジアの住居形態は、サービスアパート、コンドミニアム、ヴィラ(一軒家)、プテアロベーン(フラット)などがある。サービスアパートは24時間警備のほか、プールやジム、部屋の掃除や洗濯など、ハード面だけでなく、ソフト面も充実している物件が多い。

 BKK1で高級サービスアパートメントを展開する和新建設のジョージ・シエ氏は、「すべてのサービスアパートメントには特徴があり、ターゲットとする利用者に合わせた設計になっていますので一概には言えません。ザ・ビューの場合、一番のターゲットは日本人、台湾人です」と語る。ザ・ビューは、日本人が快適さを感じられる設計はもちろん、フロントデスクには日本語対応が可能なスタッフにより日本式のサービスを提供するという。

 

 ホテルをサービスアパートとして提供しているヒマワリホテルのアンドリュー・テイ氏は、「今は、サービスアパートに限らず、コンドミニアムや、ホテル長期滞在などたくさん選択肢があります。だからこそ、私たちのサービスの真価が問われる時代になったと思います。その中で大切なのは、セキュリティ、安全、効率的なサービス、親切さ、そして何より1人1人に合ったサービスを提供できることです。どのお客様に対しても同様のサービスを行うのではなく、例えて言うなら、いわば家族のようなサービスを心がけています」と語った。

 賃貸価格についてナイトフランクの専門家は、住宅物件の急増によって占有率と賃貸価格が影響を受けると指摘しており、今後は供給量の増加を受け価格が減少することも予想している。

 以前は質の高い住宅や宿泊施設が大幅に不足していたため、オーナーは近隣国と比較しても高い賃貸価格を設定していた。しかし、2018年の供給量の増加に伴い、テナント誘致のための競争から、オーナーによる貸手市場から借手市場に向かうと予想される。

 一方で多くの中国人の投資により、シアヌークビルでは主要な住宅、ゲストハウス、レストラン、ホテルのほとんどが中国人に賃貸され、家賃が高騰している。中国人に賃貸する場合、2~3年前の賃貸料は、月に500~1000ドルだったが、現在は月に5000~7000ドルだ。現地不動産会社ラッキーリアルティーのディット・チャンナCEOは、「少なくとも3年間は不動産賃貸が成長していくと思う」と述べている。

コンドミニアムの購入 Buy a condominium

 土地や戸建て住宅の購入ができない外国人投資家にとって投資対象の中心はコンドミニアムだ。コンドミニアムは当初は建築者の名義で所有権が登記され、分譲されると新しい所有者の名義が登記されるとともに、各戸の所有者に対しハードタイトルが発行される。これらは、コンドミニアムなどの区分所有建物を建築する場合の義務とされている。

 CBREカンボジアの報告書によると、今年第3四半期に218のマンションが販売され、プノンペンでの総数は1万2048台に達している。

 販売価格はコンドミニアム部門全体で安定していたが、第2四半期と比較してすべての部門が僅かに上昇した。ハイエンド物件の価格は0.5%、中級物件は0.4%、安価な物件は0.2%上昇した。昨年同四半期と比較して売買価格は変動し、安価な物件は5%、ハイエンド物件は1.8%増加したが、中級物件の価格は2%減少した。
 
 ナイトフランクのロス氏は、「当初、コンドミニアムでは、ターゲットを外国人にしたものが活況でしたが、最近では、少し停滞しています。カンボジアのマスマーケットには、価格が高すぎるのです。この分野では、供給過多のため、現在、開発は商業施設にシフトしていると言えます。高級なコンドミニアムの分野は、確かに陰りが見られますが、デベロッパーは、手頃な価格のマンションを建てています。それは、5万ドル以下の価格で、主にカンボジア人に向けられたものです。地元のデベロッパーは、この手頃な価格帯のコンドミニアムを攻めています」と語る。

 カナディア財閥系の不動産開発会社OCIC社により5億ドル以上が投じられ開発されている巨大複合コンドミニアム、オリンピアシティは、ユニットの約90%を販売し、そのうちの50%をカンボジア人が購入している。オリンピアシティは4つの高級住宅のタワーブロック、25階建ての商業ビルと7階建てのショッピングモールで構成されている。


その他の「不動産」の進出ガイド

不動産
不動産
不動産