カンボジアに進出する日系企業のための
B2Bガイドブック WEB版

業界別インタビュー

2018年7月25日

物流コストの削減、汚職排除は、カンボジアの輸出製品をより競争力のあるものにする[運輸・物流]トン・パン

運輸・物流

マースクライン
カントリーマネージャー: トン・パン Tung (Tom) Pham
世界最大のコンテナ船社・デンマーク企業のマースクライン。まだカンボジアで物流業が確立していなかった1992年にカンボジア法人を設立し、いまもトップを走り続ける物流の先駆者である。政府機関と共同事業も行う等、カンボジアの物流業界に貢献し続けている。そんなマースクのカントリーマネージャー、トン・パン氏に話を聞いた。
安定が求められる物流業界でマースクの提供するサービスとは

――貴社の強みを教えてください

トン・パン(以下、パン) 弊社は、世界の海運業ならびにカンボジアにおける主要な運送会社として、以下のような強みとメリットをお客様に提供しています。
—長い歴史を持つグローバル企業としての強力な経済力
—カンボジアに設立された初の物流企業の一つとして、カンボジアの輸出入産業への長期的な献身
—カンボジア市場と世界の良好なアクセスのもと提供する、強力な製品とサービスのセットアップを実施
—毎週、弊社のグローバルネットワークサービスを駆使し、シアヌークビルおよびプノンペンなど各地で運送。シアヌークビルからは、シンガポールとマレーシアのハブポートを経由したフィーダーサービスにより運送
—すべての季節性にわたるお客様のニーズに対応するため、国内のすべてのサイズとタイプの機器を扱う最大の共用設備を保持
—当社のグローバルスタンダードに従って顧客にサービスを提供する、専門的で訓練されたスタッフを提供

――物流業界における現状を教えてください

パン 2016年は、過去最低の運賃率の記録や、当時世界ランク7位だった大手韓国海運企業、韓進海運の破産といったように、海運業界にとって決定的な年でした。それ以来、顧客が弊社を業界内において世界最大の会社として安定性を求めているのを見てきました。実際に、私たちは過去20年間よりも過去2年間でより多くの会社の合併を見てきました。
 しかし、弊社は強力な財務実績と市場をリードする製品とサービスを兼ね備えているので、暴風雨のようなあらゆる難しい状況も乗り切り、顧客へのサービス提供に十分な堅牢性があります。また、弊社は有機的および無機的成長に焦点を当てています。ドイツ船社のハンブルク・スドを買収する過程であり、お客様に南北貿易における選択肢の拡大を提供していく予定です。加えて、技術の進歩は効率をもたらすだけでなく、透明性を改善し、運送プロセスにおける廃棄物の削減も期待されているため、産業のデジタル化に貢献しています。
 私たちはお客様の経験を向上させるために革新的なプロジェクトに投資しており、売り上げも伸ばしています。その一例としてリモートコンテナ管理があります。これにより顧客は生鮮食品を出荷し、サプライチェーンや安心感をさらに向上させることができます。

政府の協力のもと、消費者を商品や企業、そして市場に結び付ける

——スン・チャントール大臣は、公共事業費を削減し汚職を排除するよう関連省庁と政府機関に要請していますが、実際の状況について教えてください

パン 物流コストの削減と汚職排除は投資家にとってカンボジアをより魅力的なものにし、カンボジアの輸出製品をより競争力のあるものにするなど、常にカンボジア経済にプラスの影響を与えると考えられます。大臣が指揮している将来のカンボジアの運送・物流業の発展に向けた方向性を弊社は大いに支持しています。
 昨年はカンボジア政府の支援と献身のお陰で、インフラ整備の改善、非正規費用の廃止、物流費の調整など多くの進歩が見られ、政府が改善を図り努力していることに感謝しています。しかし、ASEAN諸国と比較してカンボジアは依然として競争力があまり高くありません。その競争力を高めるため、港湾の生産性、内陸部のインフラ整備、代理店システムの複雑さの軽減、物流手数料の調整など改善点は依然としてありますが、政府が引き続き努力を続けてくれることにもまた嬉しく思っています。

――物流業界の今後に関して、どのような展望をお持ちですか?

パン 弊社はカンボジアの物流市場について成長する可能性を秘めた成長市場であると、非常に前向きに考えています。カンボジアは二国間であろうと多国間であろうとも、自由貿易協定によりいつでも利益を得ることができます。単に船を移動するのではなく、消費者を商品や企業、そして市場に結びつけ、世界貿易を可能にし、経済成長に貢献しています。世界最大の海運会社として、お客様の成功が私たちの成功だと弊社は考えています。カンボジア政府や顧客との長期的かつ強固なパートナーシップを築けることを今後も楽しみにしています。

重要な機会に溢れるカンボジアで、柔軟な態度を持ってビジネスに臨む

――この国の物流業の発展に最も必要なのは何ですか?

パン カンボジアは他地域との外資との競争に駆られているので、競争力のある人件費と投資コストの優位性を引き続き強化し、生産性の向上、港湾・内陸部のインフラ整備、効率税関申告制度の強化に取り組むことが重要です。

――この業界でビジネスを始めるための留意点を教えてください

パン 新興経済として、カンボジアは重要な機会に溢れていますが、同様に課題もあります。したがって、カンボジアにビジネス投資のために出入りしている人にとっては、オープンな気持ちや情熱、そして柔軟な態度を保つことが大切だと思います。しかし、最も重要なのはカンボジアのようなエキサイティングな市場で生き残れる高いレベルのエネルギーが必要なことです。

――今後の事業展開について教えてください

パン 弊社はカンボジアで長く確固とした歴史を持っており、カンボジア市場に献身しています。カンボジアにおいて顧客の成長とグローバル市場への参入を支援するため、弊社は引き続き製品とサービスに投資していきます。また、カンボジア政府およびその他の大口投資家と密に協力して、生産性、インフラ開発の問題に対処し、世界における経験を生かして複雑さを軽減していきたいと思っています。これに加えて、私たちは地元のカンボジア人の才能を開発し、より多くの課題とリーダーシップのために準備することに集中していきます。


マースクライン
事業内容:物流
URL: https://www.maerskline.com/

その他の「運輸・物流」の業界インタビュー