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  • 2025年4月10日
  • カンボジアニュース

ADB、カンボジア成長率を5.8%に下方修正──米国関税でさらに悪化の可能性も[統計]

アジア開発銀行(ADB)は、2025年4月2日に発行した「アジア経済見通し(Asian Development Outlook 2025)」において、カンボジアの経済成長率予測を5.8%と発表した。これは前年10月時点で示されていた6.0%からの下方修正であり、主因として米国による関税政策の影響を挙げている。

報告書では、縫製や履物を中心とした主要輸出産業が関税により打撃を受け、輸出減退や民間投資の冷え込みが起こる可能性があると指摘している。これに伴い、雇用の縮小、外貨収入の減少、貿易赤字や経常赤字の拡大も予測されている。

また、インフレ率については2025年は3.0%、2026年は3.2%と予測されており、2024年の2.1%からの上昇が見込まれる。これは、関税による輸入コスト上昇や為替安を背景としたものであるとされる。

なお、当該レポートは2025年4月2日の午前に発行されており、同日午後にトランプ米大統領が発表した『すべての国・地域に対する最低10%の相互関税』政策は数値予測に反映されていない。報告書内でも、「新関税は予測確定後の発表であり、主要指標には織り込まれていない」と明記されている。

トランプ米大統領は9日、米国に対して報復措置を講じていないことが条件に、カンボジアを含むほぼ全ての国・地域に対して全面発動した「相互関税」について、税率の一部の適用を90日間にわたって停止すると表明した。しかし、相互関税の最低税率である10%は継続するため、カンボジアの経済指標にはさらに下振れ圧力がかかる可能性がある。

ADBカンボジア事務所のアルバート・パーク所長は、「米国の関税政策によって生産コストが上昇し、価格競争力が低下することが懸念される」と述べ、「経済の多角化と民間セクターの競争力強化が必要である」と強調した。

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