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  • 2025年3月25日
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カンボジアのサービス業GDP比率、ASEANで最低水準に[統計]

カンボジアのGDPに占める第三次産業の割合は38.6%にとどまり、他のASEAN諸国と比べて相対的に低水準であるとASEAN事務局の最新の統計報告書「ASEAN Statistical Yearbook 2023」は示している。

経済は一般に第一次産業(農業、鉱業など)、第二次産業(製造業、電力・ガス・水道供給、建設など)、第三次産業(サービス業)の三つの部門に分類される。各部門のGDPへの寄与を分析することで、その国の経済構造や発展段階が明らかとなる。

報告書によれば、「第三次産業がASEANのほとんどの加盟国で主要な部門となっているが、カンボジアは例外である」と述べられている。たとえば、シンガポールでは第三次産業がGDPの76.4%を占めており、フィリピン(62.4%)、タイ(58.5%)、マレーシア(54%)、ベトナム(46.4%)、インドネシア(44.8%)と続いている。

一方、ブルネイ・ダルサラームでは第一次産業がGDPの40.4%を占めて最大の部門であり、ラオス(27.5%)、ミャンマー(27.1%)、インドネシア(24.1%)、カンボジア(21.1%)、マレーシア(16.5%)、ベトナム(15.8%)でも依然として一定の割合を占めている。

ASEAN全体としては、2015年にはGDPの52.5%を占めていた第三次産業が2023年には53.9%まで拡大しており、ここ10年にわたって主導的な地位を維持している。2019〜2020年の新型コロナウイルス感染拡大時には一時的に低下したが、近年は国内取引、交通・宿泊、金融、行政、専門サービスなどの成長により再び比率を高めている。

一方で、第二次産業のGDP構成比は2015年の31.3%から2023年には30.3%へ、第一次産業は16.2%から15.8%へと減少している。この傾向は、ASEAN諸国が資源依存型経済から脱却し、高付加価値型の産業構造へと移行しつつあることを示している。

中国・復旦大学経済研究センターの研究員であるセン・ホン氏は、カンボジアの第三次産業の比率が他国より低いことについて懸念すべきではないと述べ、「これは基本的に経済発展の過程である。経済が発展すれば、農業から製造業、そして最終的にはサービス業へと移行する」と語った。

さらに同氏は、「すべての先進国には強いサービス部門がある。カンボジアが2029年に後発開発途上国(LDC)から卒業すれば、サービス部門も徐々に拡大し、最終的には他のASEAN諸国と同水準に達するだろう」との見通しを示した。

また、カンボジア国内にはすでに活発なサービス部門が存在しており、「銀行、保険、その他のサービスはすべて成長している。統計が歪んで見えるのは、製造業の規模が大きく、より多くの雇用と投資を集めているからである」と説明した。

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