カンボジアで20年以上に渡る歴史を持つポストメディア社。英字新聞であるプノンペン・ポストは、カンボジアで現存する最も古い独立系新聞で、1992年7月の発刊から、カンボジア人はもちろん外国人にも愛され続け、現在は世界35カ国に購読者がいる。
そんな歴史あるメディア企業を、わずか29歳にして最高経営責任者(CEO)に就任したアレックス・オドム氏。若きCEOの仕事への熱い思いや目指す未来とは。
プノンペンポスト、その歴史と創刊にあたっての決意とは。
プノンペンポストはカンボジアで一番古い英字新聞であり、1992年に設立されました。創立者は、マイケル・ヘイズというアメリカ人で、元々は隔週で刊行、初期の頃は、紙がなかったので、タイのバンコクから空輸しています。2007年に投資家グループにより会社が買収されてから、今の様な日刊新聞紙になりました。
姉妹誌にポストクメールというクメール語の新聞があり、これは親会社のポストメディアが設立されてすぐ、2009年9月に発刊されました。 この8年間で、ポストメディアは国内で最大、そして最も読まれるニュースソースに成長しました。事業を支える核は、編集力とコンテンツの品質です。我々は合計28もの、国際的な出版賞を獲得しており、これは非常に誇りと光栄です。
主な読者層は、主に中所得者層や上流階級のカンボジア人および外国人です。一般的に、大学を卒業して、カンボジアの情勢やビジネスに関心があり、知性的な記事を読むことに興味がある人々ですね。
プノンペンポストが、今でも愛される理由とは。
1992年、カンボジアには国際的に大きな注目を集めていました。国連の存在に関してです。私は創業者が、当時国のため、独立のための音声と記録を残す必要性を感じたのだと思っています。
確かに25年近く歴史の中でたくさんの問題があったのは想像できます、しかし、我々は信じていました。カンボジアに独立した知性的なジャーナリズムを提供できると。その使命の下、ポストメディアは今でも新聞を発刊し続けています。
プノンペンポストが愛されるのは、他の新聞がないときにも、常に事実と真実を報道し続けていたからです。これまでの25年間で、我々は類を見ないほど読者との信頼を築いてきました。カンボジア人と外国人共に、プノンペンポストが真実かつ公正であることを分かっています。我々は長年に渡って巨大な支持者を作り上げ、国中、そして海外にも知られるようになりました。
発展途上国で、「ジャーナリズム」を行う重要性について。
シンガポールなど先進国でさえ、メディアは非常に厳しい規制がされていますが、カンボジアはその他アセアン各国とは異なり、メディアは開かれており非常に自由です。カンボジアは、国のために物語や人々の声を提供している真のジャーナリズムを奨励しています。
今後欠かせないデジタル戦略について、ポストメディアの思い描く未来とは。
国内で、今最も人気のあるメディアはフェイスブックです。ここ2年間で、インターネットや電話回線を利用してどこにいても何をしても情報がロケットのように飛んできます。今年は、プノンペンポスト読者の大半が、フェイスブックを通じてウェブサイトにアクセスしています。多くの若者が携帯電話を使って、フェイスブック経由で情報にアクセスする傾向は続くでしょう。
将来的にプノンペンポストは、世界中のメディア企業と同様に、ソーシャルメディアとデジタルのプラットフォーム開発に力を入れていく予定です。この数年間、オンラインでの読者数の成長は、驚異的でしたから。特にクメール語での伸びがすごいですね。
現在ポストクメールのフェイスブックページには300万いいね、カンボジアで4位を誇っており、プノンペンポストとポストクメールのウェブサイトのページビュー数はトップです。
当面は、携帯電話やタブレットなどのプラットフォームでユーザーエクスペリエンスを高めることに焦点を当てます。また、カンボジア人読者や広告主様からの需要が多いクメール語動画の拡大にさらに焦点を当てて行きます。
我々は、英語、クメール語両言語の読者数で急成長を続けており、この成長が続くことに疑いの余地はありません。カンボジアのメディア業界は、世界中の先進国市場に比べてまだ初期段階で、農村部では特に、情報へのアクセスを欠いています。多くのカンボジア人に成長の余地があると思いますね。我々は、そこに大きなチャンスがあると信じています。
アレックス氏の将来の夢とは。
私は7年近く東南アジアにおり、新興市場の経験もあるので、まだこの地域で働きたいですね。人生がどこに連れて行ってくれるか、誰にも決して分かりません。でも、若い年齢でここにいられて非常に幸運だと思っていますよ。
私には「理想の仕事」がありません。情熱をぶつけられ、挑戦出来る環境で働き続けたいだけなんです。
カンボジアにおける日本からの投資は、現在活況を呈しています。日系企業が、カンボジアでリアルビジネスを成功する可能性は十分にあります。将来的にみると日本企業は、特に製造業、インフラ産業、不動産業への多額の投資を継続するでしょうね。
まだ来たことのない方には、近い将来、ぜひ直接訪問することをお勧めします。この国にはチャンスが溢れており、生活や仕事をするには素晴らしい場所です。
また、現在カンボジアに住んでいる方には、メディアと関係を持って欲しいですね。あなた達一人ひとりが、魅力的な物語を持っています。我々ポストメディアには、そんな話を聞くことが好きな人間がたくさんいますから。