
アジアを成長分野と位置付け、いち早く各国に進出したANZグループ。その背景とは。
ANZグループがカンボジアに進出を決めたのが2004年、実際に営業を開始したのが2005年のことです。当時、すでにベトナムへの進出を成功させており、東南アジア進出のノウハウと自信があったことが背景として挙げられます。我が社はジョイントベンチャーなのですが、パートナーと何度も話し合いを行い、カンボジアへの進出を決めました。実績とテクノロジー面でのシステムと豊富な経験があったので、カンボジアでの成功には自信を持っていました。もちろん中央銀行や政府の助けもあり、カンボジアの国際的なコミュニティに対してサービスを提供できるようになりました。
カンボジアと他国との違いについて一つ言えるのは、プライベートなセクターがオフィシャルなセクターに対してかなり影響を持っているという点です。銀行業界で言えば、中央銀行も私銀に対してオープンなスタンスを取っていますし、より一般的に政府の話でも、民衆の声を受け入れる準備があると思います。そこが特に他の国とは違いますね。もちろん、実際に変化するにはとても時間がかかる場合がありますが、話を聞き入れていくという姿勢は見て取ることができますね。
また、カンボジアは市場の予測が難しいのもポイントです。先進国と同じ感覚で市場を捉えていると、驚くことになると思っています。私は今まで市場に対して、先進国と同様であるという期待を持ったことはありません。発達の段階が違うので、これには気をつけなくてはなりません。
社員教育に対する強い哲学を持つANZグループ。カンボジアでの取り組みは、業界のトップトレーニング水準を上げたとも言われている。
私にとっても国にとっても、現在、未来にいたっても、大きな問題としてあげられるのは、やはり教育だと思います。かなり大きなトピックなので論じるのは難しいですが、言ってしまえば人々に十分な教育が供給されていないということです。仕事の面でも同様で、多くの方が基礎的、職業的な能力の面で十分ではありません。小学校、中学校や高等教育どの段階の教育に対しても言えることで、カンボジア最大の問題点です。
その課題に対してANZロイヤル銀行では、まずは社内育成のプログラムを設けています。そして、こういう言い方が適切かどうかは分かりませんが、銀行員となれる原石、才能を持った人を見出すようにしています。たとえ銀行員となるための学業的な背景がなくても、誠実な姿勢で勉強すれば、一人前の銀行員となれる環境を提供できていることには誇りを持っています。そしてそのためのトレーニングは準備してあります。
採用プログラムもいくつか種類を用意しています。新卒や中途採用プログラム、既存スタッフの紹介もありますし、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアからの帰国生プログラム、また、当行の支援する海外奨学生に対するプログラムもあります。多くの窓口を用意して人材の採用を行っており、能力の可能性や態度を中心的に見て、学問的な背景は問わないという姿勢で臨んでいます。