【不動産】
プノンペン都は中心地の地価の上昇は僅かだが、都市化率の上昇と共にあらゆる方角に都市が広がり、郊外の地価が上昇している。
現地不動産会社キーリアルエステートのレポートによると、2018年1月~6月末まで、プノンペンの4つの主要地区の地価は僅かな上昇にとどまっている。首都圏中心地であるチャムカーモーン区とドーンペン区は昨年と同水準だ。チャムカーモーン区の地価は1平方メートル当たり1500ドル~9500ドル、ドーンペン区では2000ドル~1万2000ドルであった。しかし、7マカラ区とトゥールコーク区の地価は同期間で5~10%上昇した。7マカラ区の地価は1平方メートルあたり2200ドル~7500ドルで、トゥールコーク区では1700ドル~5000ドルだ。
キーリアルエステートのダイレクター、ソーン・シアップ氏は、「4つの地区のうち、トゥールコーク区は、開発中のプロジェクトの多くが建設中であるために増加しました。都内全体で平均的に上昇傾向にあります」と語る。
トゥールコーク区よりさらに北に位置し、イオンモール2号店があるするセンソック区も急速に発展している。120年以上の歴史を持つ不動産コンサル会社、ナイトフランクのロス・ウィーブル氏は、「都市はあらゆる方向に成長しています。センソック区は道路インフラの改善に多くの投資が集中しており、過去3年間で土地価格はほぼ100%上昇しました」と語る。
また、南西に位置するダンカオ区も例外ではない。ダンカオ区の地価は、新規開発プロジェクトのため過去6年間で急上昇している。現地不動産会社Vトラストのレポートによると、INGシティや新国際空港の開発が盛んなダンカオ区の特にチュンエク地区の地価は2012年以降35%上昇した。2012年には217通りに沿った空き地の平均地価は1平方メートル当たり100ドルだったが、昨年には1平方メートルあたり300~600ドルで取引されている。
シェムリアップ州へと続く国道6号線に沿ったチョロイチャンバー区では、2010年~2016年にかけて平均20%の速い成長を繰り返した。現在は橋の改修工事の影響により地価の上昇は見られなかったが、中洲を結ぶインフラ整備が進むにつれ不動産開発が活発となれば、再び地価が高騰すると予想される。
中国からの盛んな投資によりシアヌークビルの地価も高騰しており、キーリアルエステートのレポートによると、1平方メートルあたり200~3000ドルになっている。現地不動産会社アマタクのタン・ホアCEOは、「現在、シアヌークビルのいくつかの地域は、プノンペンの一等地の地価にほぼ等しい。昨年1平方メートルあたり1,500ドルだった場所は、1平方メートル当たり3,000ドル以上になっており、海岸側は1平方メートル当たり4500ドルになっているところもある」と語る。
ナイトフランクのロス・ウィーブル氏は、「シアヌークビルの一部の土地価格は、すでにプノンペンより高いです。おそらく今後2年くらいでシアヌークビルのマーケットのトップが見えてくるでしょう。毎週のように価格が上昇しています。要因の1つとして、シアヌークビルのカジノの存在は、やはり大きいでしょう。カジノは規制が緩く、多くのお金を作り出します」と語る。
プノンペンのオフィス供給量はグレードAを含め増加し、占有率も増加している。2014年にオープンしたヴァタナックキャピタルタワーに次いでプノンペン2番目のグレードAオフィスビルであるエクスチェンジスクエアのオープンに伴い、オフィススペースの市場はより多様化が進みつつある。
2018年第1四半期では、グレードAのオフィススペースの平均賃貸料はサービスチャージを除き、1平方メートル当たり28~38ドルで、グレードBの建物は1平方メートル当たり15~26ドルであり、グレードCの建物の賃料は1平方メートル当たり8~18ドルとなっている。
不動産会社センチュリー21カンボジアのグレース・フォンCEOは、「需要が増加しても、オフィス賃料は昨年同期比で上昇していない」と語る。カンボジアのオフィススペースの需要が増えているのは、オフィススペースを探している中小企業が増えているためであり、国際企業、特に中国からの企業の進出による影響が大きい。
プノンペンは小売業の成長が著しく、2018年以降は11の商業施設がオープンし、総面積は昨年の22万台から37万平方メートルに増加する。ミッドタウンコミュニティモール、ブリッジコマーシャル、ダウンタウン93、ザパーク、ノロモール、プリンスセントラルプラザ、オリンピアプラザモールなどだ。
ナイトフランクのレポートによると、商業物件は現在16万2405平方メートル供給されており、2020年までには265%上昇し、約43万275平方メートルになると推測されている。現在の占拠率は、2017年上半期において90%と健全だ。
ナイトフランクのロス氏は、「新しい商業用複合施設についても、既にかなりの事前申し込みを確保しています」と語る。
また、商業施設における変化として、インディペンデント・プロパティ・サービス(IPS)のカントリーマネージャー、グラン・フィッツジェラルド氏は、「コンドミニアムや住居、商業施設が増えるにつれて、プロパティマネジメントの重要性も増していますね。以前は、マネージャーを置くだけで入居者がいましたが、今は競合も多く、商業施設でもコンドミニアムでも専門性の高い、プロフェッショナルな企業が求められています」と述べる。