カンボジアに進出する日系企業のための
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2017年12月8日
カンボジア進出ガイド

【飲食・観光】

225 カンボジアの観光・飲食②(2017年11月発刊 ISSUE07より)

サービス業の拡大 The Expansion of Service industry



 国内外の観光客が増え、サービス業に進出する企業も多くみられる。カンボジア産のお土産ショップとして人気を博している「アメイジングカンボジア」の温井和佳奈氏は、「2015年のカンボジアにおける産業別労働者数を比較すると、全体の65%が農業に従事、19%がサービス業に従事しており農業に人的資源が集中していますが、産業別GDP分布で見ると、農業はわずか30%の貢献度であり、サービス業は42%と重要な幅を占めており、それはさらに拡大するでしょう。小売事業においては、プノンペンのイオンモール付近はカンボジア国内で最も世帯月収の高い人々が住むエリアで潜在需要が大きいことから、スタートする場所としては最適でした」と語る。

 一方、カンボジアでの小売産業の問題点として原価の高さが挙げられる。同氏は、「カンボジアは市場規模が小さいため、ある時期から商品を国外に売り出す必要があります。原価が非常に高いカンボジアが他国に勝つために、売価を上げずに経営の技術により原価を抑え、販売する経営能力が問われる時代になるでしょう」と続けた。経済財政省によると、カンボジアのGDP成長率7%の目標達成に向けて今年はサービス業の成長鈍化が見られ、関連する利害関係者や投資家と共同での対応が必要との考えを示している。

飲食店の進出 The Advance of Restaurants

 プノンペンやその他地域でもファストフード店やカフェなどの飲料店、チェーン店などの外食産業は毎年確実に成長を遂げている。特に、イオンモール内やボンケンコン地区、ボンコック地区を中心に急速な拡大を見せており、海外チェーンと合わせてフランチャイズ店も増加している。カンボジア人の外食にかける支出額は、2014年と2015年を比較すると約1億4000万ドル、12%増加しており今年もその傾向は続く見込みだ。



 生鮮食品を得意とする日系卸業ロカフード&ビバレッジの塩入伸雄氏は、「数年前と比べて混雑している飲食店が増えた実感があり、特に客単価10~20ドル程度の消費をするアッパーミドル層の外食が増えています。冷凍マグロやハマチ、ウニなどはお客様のジャンル問わず人気です」と食の変化を語った。



 また今後の市場について、日本食品の卸業として老舗のダイシン・トレーディングの小池聡氏は、「トゥールコックを含むプノンペン北部エリアは著しく開発が進んでおり、日本食店も少ないため、とても興味深いです。バッタンバンやバベット、ポイペトなどの地方都市も、住居費や物価が安く競合が少ないので魅力的なエリアだと聞きます」と語った。一方、飲食店が増加する中で、食材供給面の問題点として同氏は、「電気代が超高額なカンボジアでは、冷凍食材の保管費がコストを大幅に圧迫してしまいます。対応策として、近隣国からの低温品質を保って輸送する方法を模索し、短いスパンで仕入れを行えるようにしています」と続けた。

課題と今後の取り組み Problem and Future efforts

 旅行客数500万人の割合ではアジアからの旅行客が77%を占めており、特に今年は中国人観光客数が伸びている。ムスリム観光客向けのハラル認証の取得や、中国の人民元、日本円の受入れなど、政府もアジア人観光客の誘致に向けて様々な施策を検討している。それに伴い、最長3年間の滞在を可能にするビザの発行も発表され、実現すれば、観光客や投資家は長期のマルチプルビザを申請でき、何回でもカンボジア国内に出入国できるという。また、今年7月よりヤンゴンープノンペン間の直行便が開設。以前は乗り継ぎを含め7、8時間かかっていたが、2時間で行き来が可能になり、ミャンマーからの観光客数も増加している。

 しかし一方、サービスはクオリティを欠いており、世界経済フォーラムのレポートでは144カ国中105位にランキングされ、人材育成やサービスの改善が求められている。RTRツアーのヴィ―氏は、「カンボジアには数多くの旅行会社がありますが、人材はそれに比例していません。各顧客の需要に沿ったパッケージを提供できる人材が求められます」と語る。



 ホテルでのホスピタリティ向上に関して、現在プノンペンで評判の高いブティックホテル、サン&ムーンホテルのクロイ・リティ―氏は、「展示会の参加、海外への広報、独自のセールスポイントの開拓など、各ホテルのブランディングに投資すべきです。変化を続ける市場の動きに適応することで高い水準のサービスを維持し、観光客がカンボジアに戻ってきたくなるような体験を提供しなければいけません」と語った。


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