【不動産】
ボナリアルティグループの報告によると、プノンペンおよび主要都市における2017年第1四半期の地価上昇率は前年度より低下しているものの、依然として上昇しているという。
120年以上の歴史を持つ不動産コンサル会社、ナイトフランクのロス・ウィーブル氏は、世界の不動産業界を率いる統治機関の一つである英国王立チャータード・サーベイヤーズのメンバーであり、不動産の専門家だ。マレーシアを含め7年間アジアに滞在歴もあるロス氏は、「最も高い地価は、依然として市内中心部です。住宅部門には多くの投資が行われています。駐在員の中で最も人気があるのはボンケンコン1とトンレバサックです。地価は過去4〜5年で年間15〜20%上昇していますが、投資先は市外にシフトしています。都市はどの方向に向かって発展しているのでしょうかという質問も頻繁に聞かれるのですが、都市はあらゆる方向に成長しています。第2のイオンモールを建設しているセンソックは急速に発展しています。また、この地域では道路インフラの改善に多くの投資が集中しており、過去3年間で土地価格はほぼ100%上昇しました。インフラ建設は不動産投資を推進します。チュルイ・チョンバーはシェムリアップ州へと続く国道6号線に沿った地域で、特に第2橋の完成と国道6号線の整備後に価格が上昇し、現在ではでさらなる発展がみられています。また、他の開発地は空港の近くです。日本企業クリードやマレーシア企業ライオンが手掛ける開発もあり、大規模なショッピングモールが建設されています。ここの地価も同様に上昇しています」と語る。
また今後のカンボジアの地価について、「来年は選挙が予定されているので、市場は少し減速するでしょう。しかし、カンボジアの経済的な基礎を見ると、カンボジアの不動産は長年にわたって成長し続けると予想されます。成長率と土地価格の上昇に関しては、プノンペンでは年率約10%、他の地域では10%よりもはるかに高い可能性があります」と予測している。
不動産総合コンサル会社ナイトフランクカンボジアの最新レポートによると、2017年上半期には都市部に21万7913 平方メートルのオフィススペースが供給されている。これは2016年上半期から2.1%の増加であり、更には2020年までには60%増加し 52万9143平方メートルにまで達すると見られている。
またオフィススペースへの需要も増加している。ナイトフランクのレポートによると、2017年第2四半期におけるオフィススペースの占有率は88.22%であり、前期から上昇。これはカンボジアに参入する外国企業の増加が影響しての上昇とみられる。賃貸スペースは3つのグレードに分けられ、2016年第4四半期における賃料相場は、グレードA 28ドル/㎡、グレードBは前年から11.2%上昇し 22ドル/㎡、グレードCは1.2%低下し 10~15ドル/㎡であった。現在はグレードCのオフィスが多くを占めるが、建設中の新たなオフィススペースにおいては、グレードAとグレードBが全体の96%を占めるとされている。外国企業の市場参入に対抗するべく国内企業もイメージ向上を目指す中、デベロッパーやテナントの趣向はグレードA・Bのオフィスに大きく変化しており、多くのグレードCのオフィスはもはや市場の需要に合っていない。
またここ数年、スタートアップ期の企業向けの共同作業オフィススペースが大幅な増加傾向を見せてきている。プノンペン経済特区に複合施設を開設予定のコアプロパティのモーガン・リー氏は、「スタートアップ期の中小企業がカンボジアに参入するのを援助するため、彼らのビジネスハブとして産業・商業複合施設を開発しています。そのためオフィススペース、ショップ、工場、料理店に加え、共同作業できるような空間を用意しています」と述べている。
ナイトフランスのレポートによると、商業物件は現在16万2405平方メートル供給されており、2020年までには265%上昇し、約43万275平方メートルになると推測されている。現在の占拠率は、2017年上半期において90%と健全だ。
初の国際基準モールとなったイオンモールは現在も100%の入居率を保持、2018年にはセンソック区にイオンモール2号店も開店し、更には2018年2月から新しく30店舗を首都圏と周辺地域にオープンすると発表した。キーリアルエステートのソーン・シアップ氏も注目を置く地域として、「商業物件の賃貸の場合は、都心部では無く1番目にトゥールコック区、2番目にイオン2号店が建設予定のセンソック区が最適です。現在、多くの建設が進められています」と話す。
その他大型商業施設の建設ブームも続き、ドーンペン区では、約5ヘクタール、51億ドルを投じてプノンペン最大の商業施設泰文隆ツイントレードセンターの開発が発表された。これはショッピングモールやオフィス、コンドミニアム、高級ホテルなどを含んだ複合施設で、133階建てのツインタワーを42階建ての4棟が取り囲む。完了予定時期は2022年、完成すれば東南アジア最大ともなる。
商業施設における変化として、インディペンデント・プロパティ・サービス(IPS)のグラン・フィッツジェラルド氏は、「コンドミニアムや住居、商業施設が増えるにつれて、プロパティマネジメントの重要性も増していますね。以前は、マネージャーを置くだけで入居者がいましたが、今は競合も多く、商業施設でもコンドミニアムでも専門性の高い、プロフェッショナルな企業が求められています」と述べる。