【飲食・観光】
2017年1月に発表された観光省のデータによると、2016年におけるカンボジアへの旅行者数は約500万人となり、その消費総額は30億ドル(GDPの13%)に到達、62万人(労働力全体の13%)の雇用を創出した。政府は2020年までに年間旅行者数700万人、業界全体での年間収益50億ドル、100万人の雇用創出を目標としている。中でもアンコールワットの人気は衰えることなく、旅行ガイドブックロンリー・プラネットが選ぶ「2016年世界で最も美しい場所ランキング」で世界1位に選出された。今年2月1日から開始されたアンコール遺跡群の入場料値上げによる観光客離れも懸念されていたが、収益に大きな影響は見られていない。
しかし経済財政報告書によると、過去4年間の観光客数に関する外国人観光客の伸び率は2013年の17.5%から2016年には6%に減少。16年に渡って国内外のパッケージツアーを取り扱い業界の最先端を走る、ワールドポップトラベル&ツアーズのアンディー・コンフン氏は、「新たな旅行先を増やしていかなければ今後の競争には勝てないと考えています」と話す。
中でもプレア・シアヌーク州の沿岸部は不動産業や観光業の発展が見られ更なる変化を遂げている。観光省によると、同州の2016年の観光客数と売上は、前年度比37%増の約240万人、9600万ドルを達成しており、公共事業運輸省は、19億ドルをかけてプノンペンからの新しい高速道路の建設を発表している。その他、タイ国境と面したバッタンバン州やコンポンスプー州の温泉開発など、政府は観光地の単純なPRにとどまらず、商品やサービスの質、インフラの連動性、旅行の安全・安心など全体的な戦略が必要との考えを示している。
個人所得の増加やソーシャルメディアの成長がカンボジア人の旅行熱を後押しし、国内旅行のみならず近隣諸国への海外旅行客が増加している。観光省のデータによると、2016年観光客として海外に旅行したカンボジア人の数は140万人以上に増加し、昨年に比べて20%増加した。
ワールドポップトラベル&ツアーズのコンフン氏は、「人気のある旅行先の第1位はタイで、何よりも価格が安く、レジャーだけではなく、医療検査や医療処置を行う医療ツアーなどで何度もタイを訪れる人が多いです。第2位の旅行先は香港。次いで韓国、中国の北京、日本と続きます。最近はヨーロッパも人気が出ており、香港、日本へは1回ではなく2、3度と訪れるリピーターが多いですね。日本へのツアーもタイや香港と比べるとまだ多くはありませんが、将来的には増加すると予想しています」と話す。また時期に関して同氏は、「カンボジアでは1年間で新年、プチュンバン、水祭、クリスマス、中華正月、カンボジア正月など大きなホリデーシーズンが数多くあり休暇を利用して旅行する観光客が多い傾向にあります」と付け加えた。
またカンボジア人の海外旅行増加に伴い、3つの国際空港の利用者も急増しており、2016年は前年度比8.5%増。プノンペン国際空港とシェムリアップ国際空港のターミナル拡張により、年間1000万人規模のハンドリングが可能となったが、利用者の増加見越してさらなる投資を行う予定だという。