【不動産】
ボナリアルティグループの報告によると、プノンペンおよび主要都市における2017年第1四半期の地価上昇率は前年度より低下しているものの、依然として上昇しているという。
カンボジア不動産協会の会長を務めるクメールリアルエステートのキム・ヒアン氏は、「カンボジア全体の人口が約1600万人、そのうち70%は36歳以下で、プノンペンの人口は約300万人です。20万人~30万人が毎年教育や就職、ビジネス目的で地方から移住してきます。今後5年間でプノンペン人口が400万~500万人に増えると予測しています。この人口増加が地価を吊り上げています」と語る。このようなプノンペン中心部から郊外への住居移転ブームは中心部の交通状況悪化によるもので、地価の急速な上昇とニュータウン建設の要因となっている。
不動産業界で10年近くの経歴を持ち、カンボジア不動産協会の副会長でもある、センチュリー21・メコン CEOのチレク・ソクニム氏は、「プノンペンでは今後、郊外4つのエリアが発展していくと思います。1つはトゥールコーク区北部からセンソック区のクラントノン地区、そして国道5号線までのエリア、北部郊外にあるリーヨンパット橋付近までのところは近い将来とても良いエリアになると思います。現在イオン2号店もこのエリアに建設が予定されています。2つ目は、国
道5号線と6号線の間のエリア。カンボジア日本友好橋から国道5号線と6号線を通ってリーヨンパット橋付近までのところです。OCICとリーヨンパットグループによって開発され、ヨンパットエリアと呼ばれます。3つ目はフンセンルートと呼ばれるエリアです。4つ目は国道1号線南側のエリアです。地価はどんどん高くなっています」と語る。
CBREのジェームス・パデン氏は、「不動産価格は上昇していますが、シンガポールや香港に比べるとまだ低いですし、利回りも魅力的です。しかし、絶対安心だという保証は低いため、投資家は最高のチャンスを見極めるため、市場を学ぶために時間を費やすべきです」と話した。
また、ロシア通り上の高架道路が2017年に完成予定であり、周囲の地価を押し上げるとされている。アン・ドゥン病院から7マカラ区の地価は平方メートルあたり3700から6000ドルに、7マカラ区の高架道路からプノンペン国際空港は2500~3500ドルにもなると予想されており、あらゆる地域で地価が上昇するとみられる。
不動産総合コンサル会社ナイトフランクカンボジアの最新レポートによると、2016年下半期には都市部に24万9706平方メートルのオフィススペースが供給されている。これは上半期から2.2%の増加であり、更には2020年までには77%増加し44万1539平方メートルにまで達すると見られている。
またオフィススペースへの需要も増加している。ナイトフランクのレポートによると、2016年第4四半期におけるオフィススペースの占有率は82%であり、前期から上昇。これはカンボジアに参入する外国企業の増加が影響しての上昇とみられる。賃貸スペースは3つのグレードに分けられ、2016年第4四半期における賃料相場は、グレードA 28ドル/㎡、グレードBは前年から11.2%上昇し 22ドル/㎡、グレードCは1.2%低下し 10~15ドル/㎡であった。現在はグレードCのオフィスが多くを占めるが、新たなオフィススペースにおいては、グレードAとグレードBが全体の96%を占めている。外国企業の市場参入に対抗するべく国内企業もイメージ向上を目指す中、デベロッパーやテナントの趣向はグレードA・Bのオフィスに大きく変化しており、多くのグレードCのオフィスはもはや市場の需要に合っていない。
オフィスの供給についてCBREのパデン氏は、「オフィス市場は、賃料も毎年増加しており供給のパイプラインも問題なく、非常に健康と言えますね。オフィス市場の面白い点は、土地や一般住宅に比べて、投資家が直接持てる物件がほとんどだという事です。品質面では、国際標準クラスのグレードの高い物件が人気です。今後、品質の高いオフィス物件は希少価値がつき、空き物件は限られるでしょうね」と話す。
またここ数年、スタートアップ期の企業向けの共同作業オフィススペースが大幅な増加傾向を見せてきている。プノンペン経済特区に複合施設を開設予定のコアプロパティのモーガン・リー氏は、「スタートアップ期の中小企業がカンボジアに参入するのを援助するため、彼らのビジネスハブとして産業・商業複合施設を開発しています。そのためオフィススペース、ショップ、工場、料理店に加え、共同作業できるような空間を用意しています」と述べ、オフィススペースの広がりを見せている。