【運輸・物流】
(133 カンボジアの運輸・物流③の続き)
2014年4月より流通・卸事業を開始し、食品や酒類、特に冷凍・冷蔵食料品のラインアップに力を入れているS.E.A.T.S.の峯島浩輔氏は、「主に現地の飲食店や小売店への日々のリサーチを通して必要とされている製品やサービスに関する活きたマーケティング活動を実践しています。隣国で成功している企業が現地資本と組んで出店するケースも多く、品質・価格面でもより良い物が必要となってきています。当社はこの認識の上、過去の取引先企業との経験に基づき、より現実的なご提案が可能となります」と語る。
同社の強みとして、営業担当者が現場で毎日顧客に足を運ぶことで得られているリアルなマーケット情報があげられることで、「カンボジアでは地続きのタイやベトナムに影響を受けるケースが多く、SNS等を通じて日本や韓国のカルチャーやトレンドの情報を取り入れつつ、実際の製品やサービスは価格的に手の届く隣国のものが流通しているというのが現状です」と語る。数年後の市場を見極め、対応していく力も必要となる。
法整備等も未熟な面があり、日本の常識では到底理解不能な事項も多発する中、物流に関する問題はコストと納期にそのまま跳ね返ってくるだけに、利用する物流会社の選択は料金だけではなく、どれだけ経験・知識・ホスピタリティがあるかも重要な要素となる。
日系物流業者のカンボジア進出も加速している昨今、ローカル物流会社の中にはライセンス未取得で営業している業者もあり、トラブル時の対応や説明責任問題等で大きな違いが出てくるので業者選択には十分注意したい。
また日系企業の進出に伴い、カンボジアの物流インフラ整備停滞につながる最大要因の一つである、カンボジア人関係者の意識改革へ与える影響にも大きく期待すると共に、不明瞭な費用請求の撲滅撤廃を進める事が最大の課題でもある。日系企業の皆様には賄賂撤廃への第一歩として、ACUに賛同署名することをお勧めしたい。
ASEAN経済共同体が発足後、どこまで規制が緩和されるか明確な情報は示されておらず、これらがどう影響するのか未知数だ。料金明瞭化に伴い、総合的なコスト高になる可能性もあるため、変化には注意が必要である。
そんな中、カンボジア自動車連盟(CAIF)は、消費者の利益保護と販売代理店の平準化のため、VATを支払っていないグレーマーケットで販売されている自動車の税金を引き上げ、中古車の輸入を禁止するよう政府に求めた。昨年カンボジアに輸入された45,000台のうち、正規販売代理店によるものは1割で、残9割が非課税で販売されたという。また、カンボジアを除くASEAN7か国が中古車は輸入規制されており、同規制の欠如はカンボジアに粗悪車両が集まると話す。
また、関税局は特定商品の関税率変更を4月に発表。税率が増加する品目は自動車関連の他に原材料およびガソリン、タバコなど。玩具や本など税率が下がる品目もあるが、自動車関税は車種により最大65%まで上昇する模様。ASEAN統合によりカンボジアは関税の撤廃を進めていく必要があるが、今回の税率変更は、タイからの輸入に大きく依存している自動車や自動車部品の現地生産を推し進める政府の試みとの見方もある。
(135 カンボジアのホスピタリティ・ツーリズムへ続く)