(c)Phnom Penh Post
カンボジアのインフレ率は依然として安定しているが、今後生活コストの上昇に直面することを意味している。プノンペンポストが報じた。
一部の住民は、「以前は30ドルあれば鶏肉丸ごと1羽と魚や豚肉、野菜や果物を購入できましたが、今は50ドルでも足りないくらいです」と物価上昇について話をしている。
今年5月の貿易収支は3890億リエルの黒字だったが、4月までの貿易赤字は2.5兆リエル(6億700万ドル)であった。
シンガポールの東南アジア研究所は、「カンボジアのような発展途上国が貿易および経常収支で赤字になるのは珍しくない。急速な発展を促進するために外国投資を利用することができるので、現在のように持続可能であれば何の懸念もない」と述べている。
カンボジアはタイやベトナム、中国から豚肉や鶏肉、鴨肉などの肉類、野菜などを輸入しており、毎年10億ドル近い金額に達している。
2015年に低中所得国として成長したが、米国や欧州からは後発開発途上国(LDC)として分類されたままであり、5年以内にLDCからの脱却を見据えている。
しかし生活費の上昇が所得水準に比例しているかは別問題だ。
タイやマレーシア、シンガポール、インドネシアなどの小規模なインフレを記録した隣国とは違い、カンボジアの消費者物価指数(CPI)は3.2%で推移している。
一部のエコノミストによると、「この持続性は特定の経済セクターにおける賃金の拡大と、輸入製品や国内生産された消費財に対する需要の増加が要因となっている。輸送コストや保管・在庫回収の後進性、バリューチェーンにおける経済性の欠尾などがCPIの成長に関与している」と述べている。
CPIの数値は今までレストランやアルコール飲料、ノンアルコール飲料、タバコなどが支えていたが、前年同期比で鮮魚(11.4%増)、ドライフルーツ(10.5%増)、加工済野菜(8.9%増)、根菜類(8.5%増)といった項目が急上昇している。
新型コロナウイルスの感染が拡大しているにも関わらずCPIが堅調に推移しているのは、カンボジア人の経済活動が継続していることを反映しており、いる。特に食品・ノンアルコール飲料の上昇は顕著で、燃料価格が8%近く低下していることを相殺している。
世界の国や都市の生活費(Cost of Living)についてのデータを比較・共有しているオンライン・データベース「NUMBEO(ナムベーオー)」が発表した2020年の生活費指数では、プノンペンがシンガポールやマカティ、バンコク、プーケット、パタヤに次いで東南アジアで6番目に物価の高い都市として評価された。
しかし2014年にアジア開発銀行(ADB)が実施した調査では、依然として大多数の人が貧困層に集中している結果がでている。同行の2年前の調査では1600万人のうち12.9%が国の貧困ラインを下回って生活していることが判明した。
一方でカンボジア社会経済調査(CSES)のデータによれば、一人当たりの平均可処分所得は2010年から2017年の間に2倍以上増加しており、毎年13%の増加を示している。
CSESの調査によると最低所得層にある世帯のうち25%が、同期間で可処分所得が3倍に増加しており、所得の上昇が生活費の上昇よりも大幅に上回っているという。
カンボジア国内での輸入品への依存度をさらに下げるために、政府は国内農業・畜産業を促進する動きにでています。
例えば年間15万3000トンの豚肉需要に対応するための施策の結果、2月以降豚の輸入量は約4000トンに減少しています。また、野菜生産についても今年の収穫量は71万6100トン(国内需要の67%に値する)に達する予定であり、昨年の68万2000トンから増加する見込みだ。
生活コストの上昇と輸入依存の継続は、上位中間所得国を目指すというカンボジアの目標を大きく妨げることになる。