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  • コラム
  • 2016年12月5日
  • カンボジアニュース

カンボジアで青魚アレルギー?それ、もしかしたらヒスタミン中毒かも[コラム]

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 カンボジアのマーケットを歩いてみると、屋外で肉や魚が売られているのを目にします。もちろん魚介類は水槽で生きたまま、または氷冷されて売られていますが、中にはちょっと保存状態が気になる店もあったりします。ですから、そのようなお店で本当に買って食べても大丈夫なのかなと不安になってしまいます。

 クリニックで診療をしていると、問診票のアレルギー欄に「以前にサバを食べてアレルギーが出た」と記載されている患者さんが時々いらっしゃいます。サバはカンボジアでもポピュラーな魚ですが、その時にいつも思うのが、本当にサバがアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)だったのかなと。

 確かに青魚に含まれるタンパク質の一種がアレルゲンとなって、アレルギー症状を引き起こすことがあります。しかし、その場合はサバといった一種類の魚のみにアレルギー反応が起きるのではなく、サンマ・アジ・カツオといった他の青魚でもアレルギー症状が現れてしまうことが多いようです。

 「以前はサバを食べても平気だったのに、今回はじんましんが出て顔が赤く腫れてしまった。」

 おそらく、このようなケースのほとんどは「ヒスタミン中毒」の可能性が高いと思われます。

 ヒスタミン中毒というのは、アレルギー体質でなくても誰にでも起こりうる食中毒で、ヒスタミンが大量に蓄積された魚を摂取した数分~数時間後に、じんましん・頭痛・めまい・動悸・結膜の充血・腹痛・嘔吐・下痢などの症状をきたします。重症になると、血圧低下・呼吸困難を認めることもありますが、健康な人なら何もしなくても1日以内に軽快します。食物アレルギーとよく似た症状を呈するので、食中毒だとは気づかないケースが多いようです。

 ヒスタミンが大量に蓄積する理由ですが、サバ・マグロ・サンマ・カツオ・イワシといったヒスチジン(アミノ酸の一種)を多く含む魚を室温で放置すると、魚の体内でヒスタミンを産生する菌が増殖し、ヒスチジンがヒスタミンに変わってしまいます。これを摂取するとアレルギーに類似した食中毒を引き起こします。ヒスタミンは加熱・冷凍では分解されないため、いったんヒスタミンが蓄積した魚を十分に調理してもヒスタミン中毒になってしまうのです。魚が腐っているわけではないので、味やニオイにほとんど変化がなく、気が付かないといのが曲者です。

 ですから、カンボジアでは室温で長時間放置されたような魚を購入しないように注意し、購入後の保存方法にも配慮が必要です。以前に青魚を食べた後にアレルギー症状を経験したことがある人は、一度クリニックや病院でアレルギー検査をしてみてもいいかもしれません。もしかしたら青魚がアレルゲンではない可能性もあります。いずれにしても、体の免疫力が低下している時は、アレルギーにも食中毒にもかかりやすいので、日頃から新鮮な食材の摂取と十分な休養を心がけることが重要だと思います。

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