住友商事株式会社は2月2日、タイに本社を置く事業会社、アルパイン・テクノロジー・マニュファクチャリング・タイとスミトロニクス・タイランドを通じ、電子機器の製造受託サービス事業(以下「EMS事業」)を目的として、カンボジア国バンテイメンチェイ州ポイペト市にスミトロニクス・マニュファクチャリング・カンボジア(以下「SMC」)を設立することを発表した。
東南アジアでは2015年末にASEAN経済共同体が発足し、関税撤廃等の効果をあげており、2025年までに自由化分野を含むさらなる経済統合が計画されている。また、メコン川流域の大メコン経済圏においても、タイの製造業を中心とした経済発展の波及効果が見込まれる。その中でもカンボジアは、地理的優位性、物流インフラ、廉価で豊富な若年層労働力が魅力とされ、タイプラスワンとの相乗効果もあり、すでに多くの外資企業が進出し国境経済圏が形成されている。SMC設立予定地のポイペト市は、タイ国境の南部経済回廊途上に位置し、主にタイ向けの製造拠点としての発展が見込まれている。
SMCは、タイで製造を手掛ける日系車載・家電メーカー向けに低コストかつ安定したEMS事業を提供するねらいで他の日系EMS事業者に先駆けてカンボジアに進出する。2016年4月に会社登記を完了し、10月に操業を開始する予定だ。総事業費は20億円、5年後には売上高40億円を目指す。
アルパイン・テクノロジー・マニュファクチャリング・タイは、高度な製造技術と徹底した品質管理を強みとしたタイ有数のEMS企業であり、SMCは同社の高い製造技術力と、住友商事の事業経営ノウハウ・マーケティング力を組み合わせることで、カンボジアにおいて早期に事業基盤を確立するとしている。
住友商事は、1990年代にEMS事業に参画し、現在、子会社のスミトロニクスグループを通じて、海外7カ国9拠点でEMS事業を展開している。今後、産業分野、医療分野、車載分野、環境インフラ分野など、ますます需要が高まるエレクトロニクス関連ビジネスの需要を取り込むべく、さらなる取引拡大を図る。